おはようございます

日銀は現状のマイナス金利政策を維持し、緩和政策を2%のインフレ目標が実現するまで継続し、10年債利回り(長期金利)を0%に誘導するとしました。物価目標への強い意志を実現するまでと時間軸で示し、10年債利回りのゼロ誘導は銀行融資の利ざや確保を意味して金融株主導で株価は急伸し、ドル円相場も東京市場では乱高下ののち102円台後半まで円安が進行しました。

しかし、日銀の政策を東京市場で一通り織り込むと円相場はジリジリと買い戻されてNY入り、FOMCで投票者10人のうち3人が利上げに投じるも、7人が現状維持に投票して利上げは予想通りに見送られました。その後のイエレン議長の会見では利上げの環境が整いつつあることを主張して、年内11月と12月に2回残されたFOMCでの利上げを示唆(11月は大統領選があり、議長の会見がある12月の可能性が高い)しました。票はふたつに割れましたが、現状のままでの利上げは市場との対話不足にも配慮したものと推測されています。

ドル円は現在101円40銭近辺の円高・ドル安水準で取引され、日経先物も円高嫌気に昨日の東京市場の上昇分をほぼ吐き出しています。練に練られた日銀の金融政策はお膝元の東京市場は好感したものの、時間の経過とともに効果は徐々に薄れてFOMCで利上げ見送りとなったことから再び100円割れを意識させる水準に逆戻りしています。

一方の米国市場では利上げ見送りを好感してダウは100ドル超上昇しています。ドル安進行に商品市場では金が1330ドル台に15ドル前後急上昇し、原油価格も1ドル強上昇しています。素直にFOMCでの利上げ見送りを好感する反応を金融市場が示し、金融市場の緩和姿勢を評価する展開となっています。12月利上げのカードは温存されましたが、このところの米景気指標は事前予想を下回るものが多く、今後も米雇用統計始め景気指標が12月利上げの鍵を握ることになりそうです。

日銀の労作も米国の利上げ見送りにまたも押されたことで円安が一時的なものとなりました。日米欧ともに緩和策が市場に平穏をもたらせるもので、リーマン後の金融市場の脆弱性が続いていることに危機を感じざるを得ない状況で、金融市場のお上依存性がたかまり独り立ちはまだまだ先のようです。

よい休日をお過ごしください!