金が2ヶ月ぶりに950ドル台に乗せています。3月以降は景気底入れ観測が広がり、株価が世界的に上昇したことから、安全資産の金は4月に二度にわたり865ドルまで売りに押されてW底形成から一月余りの日柄をかけての950ドル乗せとなっています。株価の反騰の終焉が確認されない状況で、このところ金はジリジリと買い進まれてようやくこの水準までたどり着いたという感じですね。

昨日はFRBが景気回復の予測を引き下げた報道や、先月のFOMC議事録で更なる量的緩和意見が多数を占めたこと、また、グリンスパン元FRB理事長が「米国の商業銀行システムはまだ多額の資金を必要としており、資本の増強が必要だ」と述べ、「住宅価格が下げ止まらない限り、依然として深刻な住宅ローン危機の可能性がある」と発言し、リスクを取り出した資金は多少冷や水を浴びせられた構図のようです。

量的緩和策としてFRBの米国債の買い付けが増加することが考えられ、米国の財政悪化→国債の格付け引き下げ観測→ドル売りの流れ→安全資産の金に資金が流入という構図の上昇となっています。

ドル建ての金価格が2ヶ月ぶりの高値を出したにも関わらず、我らが円建て金は連休明けの2,968円が未だ遠い存在となっています。ドル建てが今月に入り約50ドルの上昇、円相場は同様に5円の円高、1ドル=3円・1円=30円と換算するとほぼツーペーの状況です。「もぐら叩き」ではありませんが、モグラ(ドル建て金)が地上に出るとハンマー(円高)に叩かれ、円建て金が浮上のきっかけをつかめない状況となっています。

なんの因果か、先進国経済で最も落ち込みの大きい日本、震源地に最も遠いながらも新型インフルエンザ感染者数が上位の日本、政治に対する期待が低い国の日本、どうして通貨「円」は上昇をたどるのか?金のポジションを持つ身の嘆きが聞こえてきそうです。しかし、いずれ円安とドル建て金上昇の同時進行を夢見て我慢!がまん!ガマン!の日々が続くことになります。