本日のトピック(最前線情報)

岡地(株)東京支店投資相談部の川原忠夫が相場の分析を致します。商品業界に身を置くこと四半世紀、相場界の酸いも甘いも噛み分けた豊富な経験を生かし、ファンダメンタルを重要視しながら、的確且つ最新の情報を発信してまいります。尚、情報に関しては正確を期するように最善を尽くしておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。利用にあたっては自己の責任の下で行うと共に売買の判断はお客様ご自身で行なってください。

2020年03月

4月入りの東京ロックダウン警戒

おはようございます

【金融・為替】
東京市場ではロックダウン(都市封鎖)に対する株式市場の警戒が付きまとう展開となりました。一部のネット報道では3月末の発表は企業決算に大きく影響する故、4月入りの発表を政府に働きかけているとも伝えられています。一方ではトランプ大統領が外出自粛を当初の4月12日から4末に延期したことから、時間外取引では軟化する場面も見られましたが、本セッションではダウ平均は2万2327ドル(+690)に反発し政府の経済対策への期待や、WHOによる一部のワクチンに効果が見られるとの見解から新薬開発への期待も高まっているようです。

為替はドル円が108円を挟む展開が続き、現在は107円85銭近辺で推移しています。ユーロは1.104ドルに反落し、ドル指数は99.0ポイントにしばらくぶりに反発しています。米10年債利回りは一時0.60%まで低下も株価反発の影響もあり、0.730%に上昇しています。

【石油市況】
パンデミックが欧州から米国に移りつつあることや、サウジが5月に日量1060万バレルと過去最高に増産すると見通しに下落し、一時19.27ドルと18年ぶりの安値を更新、その後、トランプ・プーチン会談で原油市況安定で合意したことがきっかかで安値より戻すも、20.09ドル(−1.42)に大幅に続落して引けています。

【貴金属市況】
金はドル高や株高の動きに押されて続落1643.2ドル(−10.9)で引けています。今月に入り9日に1704.3ドルと7年ぶりの高値を示現、その後はコロナショックによる換金売りを浴びて16日には1450ドルまで250ドルの暴落、そしてFRBによる政策金利ゼロやQE4導入によるドルキャッシュひっ迫の緩和により25日は1699ドルまでほぼ全値戻しの激しい展開となりました。QEの再開や政府の財政出動による財政赤字拡大が確実視される状況のなか、下値は今後堅くなることが予想されます。本日の円換算は5600円前後になります。

【穀物市況】
穀物市場は大豆が小幅に続伸し、コーンは続落して引けています。

東京のロックダウンも時間の問題か!?

おはようございます

欧米中心に感染拡大が続き、政府や中央銀行の政策も今できる限りの政策を打って、景気後退を最小限に止める努力が続きますが、先週発表された米失業保険申請件数の爆発に見られるように、経済へのダメージは想像以上に大きいようでます。国連の見通しでは世界中の失業者数は2500万人をこえるとの見方も出ていることで、失業者対策や中小企業の破綻に備える対策が急務となっています。中国の隣国でもある日本がここまで感染をある程度抑制できていましたが、五輪延期に合わせるように感染拡大が広がりロックダウン(都市封鎖)はもはやは人ごとでない状況です。

自粛要請に加えて、あいにくの雪もあり日曜日の街中は閑散としていました。パリのロックダウンの様子を報道していたテレビでは、休業のお店の家賃や、従業員の賃金の86%を国が保証すると伝えられていました。日本とは大きなギャップがあるようで、1世帯最大10万円程度の給付では家賃を払ったら手元にお金はほとんど残らない状態、対応が遅く、ショボい保証では意気が上がりません!欧米のようにロックダウンのカウントダウンも近づているようですが、政府のより力強いサポートが要求される状況です。

今週も人の生活ばかりでなく、金融の世界も震撼させられる1週間となりそうです!

世界中で自ら望まぬニートが増殖

おはようございます

前日に上院で可決された米経済対策の2兆ドルは下院でも採決され、あとはトランプ大統領の署名待ちまでこぎつけました。米国のGDPの1割を占める大規模な財政支出で、リーマンショックの7000億ドルを大きく上回る過去最大規模となります。前日の新規失業保険申請件数が328.3万件と失職者の急増はサプライズでしたが、来週以降も増加傾向が続くものと思われます。米第2四半期(4−6月期)のGDP予測が2桁のマイナス成長に陥る見通しもあり、米国政府は大規模経済対策でV字回復を狙う意図もあるようです。但し、現実はイタリアに続き米国も中国の感染者数を上回る事態で、いずれにしても感染がピークを過ぎなければ経済活動の再開はかなわず、V字回復はU字型のスローペースとなることも意識される状況です。

欧州でも各国の経済対策は進行していますが、欧州安定メカニズム(ESM)を活用する期待もありましたが、欧州委員会はこれを見送り悲観視されています。また、英国ではジョンソン首相やチャールズ皇太子の陽性反応が確認され、ジョンソン氏は独メルケル氏と同様に自宅から陣頭指揮を執らざるをえない状況から政策遅滞懸念もあるようです。

週末の欧州株は4%前後の下落となっています。そしてここ3営業日で安値から2割程度反発したNYダウも、週末の利益確定売りも出て2万1636ドル(−915)に4日ぶりに反落して引けています。株安から債券相場が上昇して10年債利回りは0.686%まで低下、利回りの低下もありドル相場は続落してドル指数は98.2ポイントにまで下落し、対円で107円90銭台に、対ユーロでも1.114ドルに下落しています。短期の数か月物の債券市場では米国でも初のマイナス金利にまで低下、日欧との政策余地の違いがドル安要因となっています。

商品市況は原油が21.51ドル(−1.09)に続落し、株安のリスク回避の動きや、サウジがロシアとの減産協議に応じないと伝えられたことも嫌気材料、一時21ドルを割れる場面まで下落しましたが、お膝元の米シェール掘削リグ数が40基も減少たことから幾分安値より戻す展開となりました。今回の経済対策に石油の戦略備蓄が含まれていないことも嫌気材料となっています。金は株安やドル安といった本来上昇する材料のなか、上値重く推移して1654.1ドル(−6.2)に続落して引けています。週の前半には一時1700ドルの大台に迫る場面も見られましたが、現物市場のロコ・ロンドンを大きく上回る水準まで跳ね上がった修正安とも見られます。引け後もロンドン価格にサヤ寄せする展開が続き、週明けの換算値は5630円前後になります。

欧米ほどでないしろ、日本でも感染者数が飛躍的に増加傾向を示していることから、自粛、自粛、自粛の言葉が拡散されています。節度を持った週末を過ごさざるを得ませんね!良い週末をお過ごしください!

米雇用に急減速判明も政策期待に株価は3日続伸

おはようございます

【金融・為替】
米景気対策の2兆ドルが上院で可決され、今後下院での採決、トランプ署名の手続きを経て成立する運びで、金融市場では迅速な対応期待からダウ平均は3日続伸して2万2552ドル(+1351)に大幅に続伸して引けています。為替はドル売り優勢の一日となり、対円は109円60銭前後にドル安・円高が進行し、対ユーロでも1.102ドル前後に続落し、ドル指数は99.8ポイントに続落しました。米10年債利回りは0.844%に低下して引けています。

本日のトピックは米失業保険申請件数で、元々コロナの影響により110万人程度に大きく悪化が予想されていましたが、発表された申請件数は328.3万件とその3倍、先週の28.1万件の10倍以上に悪化が確認されました。市場はこの材料は既に織り込み済みとの反応を示し、ムニューシン財務長官は小切手は3週間以内に手元に届けられるとし安心感が広がる状況です。パウエルFRB議長もテレビに異例の生出演に、政策は出尽くしでなくまだまだ打つ手はある!と発言して、市場心理悪化に歯止めをかけるための演出をしています。

【石油市況】
原油は52.60ドル(−1.89)と4日ぶりに反落して引けています。改めて原油需要の後退が意識されると同時に、2兆ドルの財源に戦略石油備蓄(SPR)の予算が入っていなことも悲観されたようです。

【貴金属市況】
金は亜細亜から欧州時間は軟調に推移していましたが、米国時間に入りドル相場が軟調な展開となったことから反発基調となり、更に失業保険申請件数が予想を大きく上回る発表となったことから上昇が加速して1660.3ドル(+26.0)に反発して引けています。本日の円換算は5735円前後になりますが、コロナの影響から世界の金市場の価格のいびつ化が進行、換算値よりも30円前後割安になることがここ数日常態化する異常事態となっています。価格は安いほうから東京→ロンドン→ニューヨークとなっています。

【穀物市況】
穀物市場は大豆が続落し、コーンは小幅続伸して引けています。

株価続伸もVIX高止まり

おはようございます

【金融・為替】
注目されていた米国の景気対策は与野党の合意にこぎつけ、今後2兆ドル規模の対策がスムースに行われる見通しとなりました。前日に市場最大の上げ幅を記録したダウ平均は一時1300ドルを超える続伸を見せ、引けにかけてはだれたものの+495ドルの2万1200ドルに続伸して引けています。2日続伸は1か月半ぶりのことで、その間は大幅下落と反発を繰り返していますが、ようやく落ち着きを取り戻しています。一方で恐怖指数(VIX)は引き続き60ポイントを超えている状況で、株価反発ほど先行き楽観視していないことが読み取れます。

為替はドル円は保ち合いが続き111円20銭前後で推移、ユーロは1.087ドルに反発し、ドル指数は100.9ポイントに反落しています。米10年債利回りは株価の続伸もあり0.871%に小幅に上昇も、1%を割り込んで推移していることから一頃のドル不足はFRBの政策もあり解消に向かっています。

【石油市況】
原油は24.49ドル(+0.48)に小幅に3日続伸し、米政府の景気対策により株価が続伸したことも上昇に寄与した模様です。但し、米エネルギー情報局(EIA)の原油在庫は減少したものの、需要減が鮮明となり今後も上値を抑制しそうです。

【貴金属市況】
金は2日連続の急騰後の昨日の日本時間早朝に一時1699.3ドルと今月3日の高値1700ドルに迫る水準まで買われ、その後は現物指標のロコ・ロンドン市場がNY市場より大幅ディスカウントされて推移(40〜60ドル)していたこともあり、徐々に値を消してNY市場入りし1634.9ドル(−29.0)に反落して引けています。本日の円換算は5760円前後になります。

【穀物市況】
穀物市場は大豆が反落し、コーンが続伸して引けています。

景気対策合意の近づきダウは史上最大の上昇幅に

おはようございます

【金融・為替】
民主党の抵抗に合い2兆ドル規模の景気対策が決まらぬ米議会ですが、民主党の軟化姿勢に期待が再び高まりダウ平均は2万0704ドル(+2112)の大台回復と同時に史上最大の上げ幅を記録しました。非常時の景気対策の拒否は、今後の選挙戦にも民主党のダメージになることは明らかで近々合意に至ると見られます。前日のFRBによる無制限QEに加えて、政府の景気対策が足並みをそろえることを好感した反応を本日は示したものの、株高も株安もAIによるロボット売買が主導権を持っているようで、VIX指数は危険水域の60ポイントを超えている状況に変わりなく、今後も不安定な値動きの展開が続くことになりそうです。

為替はドル円が111円35銭前後の円安・ドル高で推移、ユーロは1.066ドルと昨日のこの時間帯とほぼ変わらず、ドル指数は101.8ポイントに小反落しています。株高の動きから債券市場は下落して、10年債利回りは0.854%に小幅に上昇しています。

【石油市況】
原油は24.01ドル(+0.65)に続伸して引け、緊張が続く金融市場が本日は落ち着きを取り戻したことも上昇要因ながら、コロナウイルスによる需要減速と、サウジの増産は重くのしかかる状況には変化はないようです。

【貴金属市況】
NY金は前日の急騰に続き本日も急続伸して1663.3ドル(+90.6)で引け、一時1698.0ドルと今月9日の高値に接近し250ドルもの下げ幅を一気に解消する爆買い状態となっています。但し、現物市場が先物よりも大幅なディスカウント(50〜70ドル)で金を使う両市場の乖離幅は前例のない開きとなっています。欧米の金市場関係者が自宅待機の情勢から裁定取引(市場間の価格差を平準化する取引)の機能が働かず、先物の爆買いから現物価格を置き去りにする異常な事態となっています。現在先物1673ドル、現物1630ドル、現物からの換算値は5800円台となり先の高値5913円に円建ても接近することになります。

【穀物市況】
穀物市場は大豆が続伸し、コーンも反発に転じています。金融市場が落ち着きを取り戻し値ごろ買いも入っているようです。

FRBがQE枠無制限も経済対策難航

おはようございます

【金融・為替】
FRBが量的緩和策(QE)に関して、米国時間早朝に国債や住宅担保証券の買い入れを当面無制限とする緊急措置を発表しました。一方で2兆ドル(220兆円)の経済対策は23日にも議会の承認を得られると見られていましたが、民主党が採決を拒否していると伝えられ政府とFRBによる政策の相乗効果の期待は後退して株価は続落して引けています。ダウ平均は1万8591ドル(−582)に続落して引けています。朝方FRBの政策を好感して安値より戻る場面も見られましたが、経済対策が決まらず失望売りに大幅続落して引けています。アジア・欧米市場の株価が2〜5%続落するも、日経平均は孤高の上昇(2%超)を見せましたが、日銀のETF買い2000億円強が上昇要因として判明しました。更に大証先物は更に500円強の続伸を見せ、日本の官製相場の威力を見せつけています。

為替はFRBの量的緩和無制限の発表直後に一時110円を割り込む円買い優勢の動きも、その後は徐々にドル買い一巡から111円20銭前後まで円安進行の動きとなっています。ユーロも上昇後に落ち着きを取り戻し1.072ドル前後で推移、ドル指数は102.4ポイントに小反落しています。FRBによるQE無制限措置の影響もあり、米国債には資金が流入して10年債利回りは0.786%に低下しています。先週は債券市場にも換金売りが浴びせられ一時1.3%台に上昇する場面も見られましたが、FRBによる資金供給網の拡張もあり徐々にドル需要を吸収する状況に落ち着きを取り戻しています。

【石油市況】
原油は23.36ドル(+0.73)に小幅に反発して引けています。先週の下落に対するリバウンド的な反発とも見られていますが、FRBによるQE無制限の発表後に上昇幅を広げています。

【貴金属市況】
金は1480〜1500ドルの間でアジアから欧州時間はもち合うも、FRBによる量的緩和策の無制限措置が発表されるとドル相場の下落に呼応するように1500ドルを抜け、その後ドル相場が上昇に転じても金は堅調を維持して大幅続伸して1567.6ドル(+83.0)で引けています。債券相場が換金売り一巡から反発に転じていることを見ても、金市場からの換金売り一巡と見ることもできるでしょうか。質への逃避、安全資産の再認識として見方が市場に回帰しているのかも知れません!本日の円換算は55550円前後になります。

【穀物市況】
穀物市場は大豆が続伸も、コーンは小反落しています。

コロナ対策に米2兆ドルの財政出動

おはようございます

WHOがパンデミックを表明したのが今月12日、当日の新型コロナウイルスによる肺炎は世界の感染者数で12万4375人、死者数は4533人でした。10日後の22日(日)には感染者数が28万5483人、死者数が1万2430人に増加して特に欧州や米国への感染拡大が飛躍的に上ています。2月頃までは欧米目線ではアジア中心の「対岸の火事」扱いでしたが、現状はそれぞれがアジアに代わるホットスポットとなっています。

欧州では3%台に跳ね上がったイタリア国債をECBが購入して、デフォルトのリスクを抑え込むように7500億ユーロ(88兆円)の量的緩和を開始、米国では2月に1.5%あった政策金利をFRBは2度に渡る緊急利下げでゼロにまで下げる対応をし、更に量的緩和策QE4まで再開しました。米政府も週末に景気対策として2兆ドル規模(2200兆円)の財政出動(政府1.3兆ドル+FRBの追加支援)を決定し、本日23日にも上下両院での議会での採決が予定されています。

日本でも日銀のETF購入を6兆円から12兆円規模に倍増し、政府の景気対策も近く具体的に決められる見通しです。今後世界的な景気後退や失業率の上昇が予想されるなかで、世界の政府・中銀があるゆる手立てを打ってコロナウイルスと闘うことになりますが、目に見えない敵と闘っている間に、先進医療技術で持っていつ退治できるのかがポイントとなりそうです。

今週もよろしくお願いします

株価はトランプ政権誕生時を下回る

おはようございます

全米最大の4400万人の人口を抱えるカリフォルニア州が外出禁止令を発令したのに続き、同1700万人のニューヨーク州にも出されました。全米でのコロナウイルスによる肺炎の感染者数が20日現在1万人を超え、死者数も150人に上りより深刻な状況に陥っています。更なる感染拡大を抑制するために経済活動の犠牲を伴うも、人命をより重視する政策を選択せざるを得ない状況になっています。

ダウ平均は続伸して始まるも、NY州の外出禁止令発表後に大幅な反落となり1万9173ドル(−913)で引けています。外出禁止は同時に経済活動への急ブレーキとなることは必至で、今後の米雇用者数が100万人単位で減少に転じることは避けられない見通しとなります。政府の現金給付は民主党の反対に決まらず、FRBの流動性供給といった政策総動員も、感染拡大の広がるコロナウイルスに対して無力感が米国市場を覆っているようです。

外為市場では引き続きドル買いが優勢で、ドル円は111円を挟む水準を推移、ユーロは1.069ドル前後、ドル指数は102.5ポイント全土で推移しています。株価の大幅下落から本日は債券市場に資金が戻る展開となり、10年債利回りは0.861%と4日ぶりに1%を割り込んでいます。

商品市場では原油は一時28ドル台を回復する場面も見られましたが、NY州の外出禁止の報道から株価が下落に転じたことをきっかけに反転下落に転じ22.63ドル(−1.7)で引けています。金は1460台〜1510台と上下に50ドル以上動く不安定な値動きも、前日比小幅続伸して1484.6ドル(+5.3)で取引終了、週明けの円換算は5320円前後になります。債券市場に買い物が入り逃避資金を受け入れる動きが、金の下落に歯止めをかける役割も本日は見られたようです。

良い週末をお過ごしください!

中銀&政府の政策総動員も霧晴れず!

おはようございます

新型コロナウイルスによる肺炎が世界中に広がりを見せるなかで、各国中銀は金融の混乱を最小限に抑えるために対応に追われる1週間となっています。日銀は資金の流動性供給に加えて、これまで6兆円規模であったETFを12兆円に倍増し株式市場を支える動きを強め、投資家心理の冷え込みの抑制を支援しています。ECB(欧州連銀)も資金供給を増加させましたが、ラガルド総裁は「イタリア国債を買うためでない!」と発言すると、総裁発言を悲観してイタリア国債の利回りは3%台に跳ね上がりました。19日になりECBは7500億ユーロ(88兆円規模)の欧州版QEを発表して、ようやくイタリア国債を購入して利回り低下に一息付く状況となりました。

米国では週明けアジアの金融市場の開く前にFRBは政策金利を1.0%引き下げ、実質ゼロ金利政策を発表すると同時に、7000億ドルの量的緩和(QE4)の再開を発表して市場の動揺を抑えるのに政策総動員し、更に企業が発行するCP(コマーシャル・ペーパー)の購入に加えて、本来は銀行監督が主な業務であるにも関わず、購入対象に新たに門外の証券会社が運営するMMFを加えています。

が、しかし、金融市場の動揺の収まりには限界があるようで、中銀や政府の対策を一時的に好感する動きを強めるものの、その効果は長くは続かない状況が続いています。国境の封鎖をはじめ、国内では外出の抑制を呼び掛けてヒトやモノの動きが停滞し、企業の操業自粛にもつながる現状から、経済活動への打撃が確実視される状況を「金融政策と財政出動」でカバーする限界が意識されているようです。

市場の動揺の収まらない証明のように本日もドルへのキャッシュ化の動きが続き、ドルINDEX(ドル指数)は102.7ポイントまで上昇して3年2か月ぶりの高値を付けています。米10年債利回りは引き続き債券売りを象徴するように1.171%に高止まりしています。QE4再開のFRBの行動から先行きの流動性が担保される状況にも関わらず、投資家が資産を現金に変える動きが続いていることは、まだまだ投資家心理が改善される状況になく、見えないウイルスという敵に対して防御一方tなっています。

ダウ平均は2万0094ドル(+195)と大台を辛うじて回復する動きとなっています。取引序盤に700ドルを超える下落を見せ不安定な展開がこの日も続いていますが、FRB+ECB+BOJ(日銀)に加えてイングランド銀行も緊急利下げ&資産購入を発表、株価反発にも幾分寄与した模様です。

商品市場では前日に18年ぶりの安値に沈んだWTI原油が25.22ドル(+4.85)に急反発を見せ、前日の暴落に対する自律反発と見られます。政策総動員の金融政策を評価する一方で、需要減退+サウジの増産が今後も相場立て直しの足を引っ張る構図に変わりはないように見られます。

金も前日の急落に対して1500割れの値ごろ感もあり1479.3ドル(+1.4)に小反発して引けています。安全資産の代表格である米国債すらも売られる状況から、金に対する逃避買いもこのところ成りを潜めていますが、NY金の市場では金に肩入れしていたカリスマ投資家レイ・ダリオ氏率いる大手ヘッジファンドであるブリッジ・ウォーター・アソシエートが撤退し、買いすぎの投機買いが徐々に解消に向かっています。TOCOM金に関して一言、今週は当月と先物の逆鞘(先物の割安)拡大にお気づきと思いますが、FRBのゼロ金利によりNY金の鞘縮小が背景にあります。東京市場の見合いの4月と翌年2月は10ドル前後の鞘縮小がみられます。換算値は5220〜5230円前後になっています。

良い連休をお過ごしください!
相場に対する考え方
相場の世界は人間社会の縮図であり、より大きな視野に立つことが成功の秘訣です。ファンダメンタルを最も重要視し、商社や地場情報を取り入れながら、既存の見方にとらわれない独自の観点から、相場動向を分かりやすく解説し分析してまいります。
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