本日のトピック(最前線情報)

岡地(株)東京支店投資相談部の川原忠夫が相場の分析を致します。商品業界に身を置くこと四半世紀、相場界の酸いも甘いも噛み分けた豊富な経験を生かし、ファンダメンタルを重要視しながら、的確且つ最新の情報を発信してまいります。尚、情報に関しては正確を期するように最善を尽くしておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。利用にあたっては自己の責任の下で行うと共に売買の判断はお客様ご自身で行なってください。

2010年12月

大納会を迎えました

おはようございます。

今日から電車も休日ダイヤに変わっていて、乗り換えの勝手の違いに気づく次第、大きな荷物を持つ家族連れも多く帰省ラッシュのはじまりのようでした。さて、当業界でも今日は「大納会」を迎えます。投資家も我々も人それぞれの一年間だったとおもいますが、今年より来年という思いは同じだと思います。一年間当サイトをご利用頂きありがとうございました。来る2011年もこの場を借りて宜しくお願いします。皆さん、良いお年をお迎えください!

【金融・為替】
ドル円は81円65銭と昨日から60銭の円高・ドル安で推移、ユーロも1.322ドルに反発しており、ドル相場の軟化の展開となっています。年末の薄商いのなか輸出企業の本国送金が円買いにつながっているとのコメントも見受けられますが、米経済の先行きに疑心暗鬼が漂うことや欧州の公的債務問題が根強く残されており、経常黒字国日本円が消去法から買われやすい状況を踏襲している動きのようにも思われます。来る2011年も“主要国通貨の弱い者比べ”の延長線が金融市場を舞台にして演じられることに違和感のない動きとなっています。言えることはこの商品市場にとっては、ドル安の流れがドル建て商品の上昇要因であることは明白で、むしろポジティブ要因として考えてもいいように思います。円高を危惧するばかりでなく、最強通貨円をどのように使うのかは日本企業に問われる生き残りの道で、それは投資家にも通じるものと個人的に考えています。ダウは9ドル高の1万1,585ドルと2年2ヵ月ぶりの高値を小幅に更新、10年債の利回りは3.3451%に低下しており、ドル相場の方向性は年初7日の米雇用統計にかかるものと思われます。7年債の入札状況は無事に終了した模様です。本日の景気指標の発表はとくになし。

【石油市況】
原油は91.12ドル(−0.37)に小幅に反落、ドルの対ユーロでの下落に支えられるものの、高値警戒感もあり90ドルを目先固めることができるのかどうか、今後の実勢と投機資金とのせめぎ合いが想定されます。

【貴金属市況】
金は続伸しており1,410ドル台に上昇、前日の薄商いのなか取組高が1万1,000枚以上増加を見せており、クリスマス明けのポジション作りがすでにスタートしたことを意味し、安全資産や代替通貨としての金の位置づけが今後も続くことを象徴しているようです。

【穀物市況】
コーンと小麦が小確りとなり、大豆は反落するまちまちな動きとなっています。目先は南米の高温乾燥気味な天候が支援材料ですが、米穀物在庫が逼迫する状況に新興国の需要拡大に供給が追いつけるのかが来年の主要テーマになるものと思われ、来年の穀物生産の状況によっては、旺盛な投機資金が一段の価格引き上げに一役買うものと思われます。

朝一番情報

おはようございます。

【金融・為替】
ドル円は82円45銭と昨日とほぼ変わらずながら、住宅指数や消費者信頼感指数が事前予想を下回ったことからドルが一時全面安となり、ドル円も81円80銭と久しぶりに81円台を除く場面も見られました。その後はダウがマイナスからプラスに転じたことや、5年債の入札の好調さも手伝いドルが買い戻されて前日引けの近辺で揉み合う展開となりました。ダウは20ドル高の1万1575ドルに反発し、10年債の利回りは3.483%に上昇しています。ニューヨークの吹雪と豪雪による交通の混乱はひとまず収まり、金融の市場関係者も自分おデスクに本日はついたようです。今日からロンドン市場も通常業務開始となり、欧米の金融市場がほぼ全てクリスマス明けとなります。

* 10月の米ケースシラー住宅指数:前年同月比−0.80%(事前予想は−0.18%)
* 12月の米消費者信頼感指数:52.5(同56.4)

【石油市況】
原油は91.49ドル(+0.49)と前日の下げ分をほぼ取り戻す動きとなり、ドル安や米北東部の寒波からの需要拡大期待に上昇した模様です。

【貴金属市況】
金は大幅上昇を見せており、9営業日ぶりに1,400ドルの節目を超える展開となりました。現在は1405ドル近辺の保ち合いとなっており、ドル安で買われてその後のドル高の動きにおされることなく大台を維持しています。コメントには1月限のオプションの納会にからみ、1,400ドルのコールオプションの売り方のヘッジ買いとされていますが、前日の吹雪による市場参加者が本格的にもどり出し、クリスマス明けによる来年をも見据えたポジション取りに動き出したものと考えられます。それにしても1,400ドル奪取は予想外に早く訪れ、金市場の先行きに強気の意を強くさせる展開となりました。

【穀物市況】
穀物市況は主要3銘柄ともに上昇を見せており、南米アルゼンチンやブラジル南部の高温・乾燥気味な天候に投機筋のロングが膨らむ展開に上昇を見せています。また、ドル安再開を匂わせる動きや、株価・原油・金の上昇が穀物市況への強気効果波及をもたらせているようです。

日本は仕事納め、海外は仕事初め

今日も一日お疲れ様でした。

今日は官公庁の御用納め同様に、民間でも今年最後の業務のところが多いようです。我々の業界も残りあと2営業日を残すのみとなりました。

海外市場は昨日から米国市場が再開され、4連休の英国市場も明日から再会の予定となっています。ただ、米国市場はダウが今年一番の薄商いだったようで、大雪と吹雪の影響が通勤客の足を引っ張ったようです。商品市場でもコメックス金の推定出来高が僅かに4万5,000枚と我が目を疑う状況で、証券市場同様に市場参加者の少なさを物語っているようです。

中国の利上げはほぼ材料としては吸収されたようで、今日は米住宅価格指数(事前予想は前年同月比−0.18%)と12月の米消費者信頼感指数(同56.4)が発表される予定です。来年にかけては減税法案延長の成果が今後どの程度の影響を及ぼすのか注目されます。

2011年のGDPを3%〜3.5%見通しと楽観するアナリストが大半を占めるようですが、雇用や住宅問題が上向きと成らなければQE2の行方も、打ち止めとなる保証は薄れることになります。また、財政赤字の方に市場の目線が移ると基軸通貨ドルの下落を伴うことになりそうです。

朝一番情報

おはようございます。今日は「御用納め」の日、公的機関は今日で今年の業務が終了し年の瀬も押し迫る感じですね。クリスマス明けの米ニューヨークは積雪と吹雪に見舞われ、交通網が寸断されたようで金融市場への参加者も限定的だったようです。

【金融・為替】
ドル円は82円80銭近辺で推移しており昨日とほぼ同水準となっています。ユーロは1.316ドルと若干小反発していますが、ユーロ圏の公的債務問題は今後も蒸し返されるものと考えられ、スロバキアの財務相はギリシャとポルトガルはユーロ圏を離れるほうが国益になるとし、両国な南欧諸国はユーロ参加に的確でないとの発言が物議を醸しています。ダウは18ドル安の1万1555ドルに小反落、10年債の利回りは3.394%に低下しています。今週は米国債の入札ラッシュですが、2年債の入札は無事に終了した模様です。本日の景気指標の発表は特になし。

【石油市況】
原油は91.00ドル(−0.51)に小反落しており、序盤の時間外取引では欧米の寒波到来に反応を示し91.88ドルに上昇する高値更新場面も見られましたが、短期的な買われすぎや中国の利上げによる需要減退観測の売り物におされる展開となり、小幅に前日を下回る動きとなりました。

【貴金属市況】
金は1,383ドル近辺で休暇明けの取引を終了しており、他商品同様に市場参加者が限定されたことや、ロンドンの金市場の休場の関係もあり閑散症状となっています。CFTCのよると金のファンドロングは21日現在642トンと前週比42.8トンの減少を示しピーク時から200トン前後の減少となっています。独自要因は中国人民銀行アドバイザーが外貨準備における金の資産配分を増加させるべきとの発言が支援要因となったようです。

【穀物市況】
穀物市況は小麦が小安い以外はコーンが小確りに、大豆は大幅続伸しています。依然としてアルゼンチンの高温・乾燥気味な天候を好感する買い物に上昇する展開となっています。上昇を背景とするファンドポジションはいずれも前週比で大幅に増加しており、原油・穀物がファンドの人気を集めているようです。

卯年の傾向と対策

今日も一日お疲れ様でした。

中国の利上げ報道に商品市場も全般に安寄りしたものの、その後は落ち着きを取り戻しました。本家の上海株式市場も堅調に推移しているところを見ると、材料としてはすでに織り込まれたということでしょう。

海外市場もクリスマス明けですが、今日・明日は豪州・ニュージーランド・香港の一部・欧州はまだ振替休日等でお休みです。米国市場は今日から再開ですが、雪の上に強風が吹き荒れる荒天のようで市場参加者の通勤がままならいとも報道されています。本格稼動にはまだ少し時間を要するようです。

国内商品市場は30日が「大納会」です。当日は夜間取引はありませんので、午後3時30分に今年の立会が終了となります。「大発会」は新年4日のスタートで、初日より夜間取引も再開されます。その間の海外市場は年内が30日・31日、年明けは3日スタートで、大発会は3日分の海外市場を受けてのスタートとなります。

2011年はご存知のように卯年です。日経平均は過去60年間で5回中4回は上昇していて、平均上昇率も23%と12支のなかでも良い年回りのようです。米国では辰年が毎回「大統領選挙」の年で、卯年は辰の前年にあたります。つまり大統領選の前年にあたる年のダウは全て上昇しているという統計となっています。前年からすでに株価上昇が選挙対策用にもたらされており、今回のケースに当てはめると「ブッシュ減税延長法案」がそれにあたるようです。

商品市場を眺めると1990年〜2000年にかけては大体が陰線引け、2000年からここまで08年のリーマンショック時以外は逆にほぼ陽線引けとなっていて、大きな流れは上昇トレンドの途上という見方もできるようです。最も統計だけで相場道を極めることができるほど生易しいものでないことは、これも過去の経験則に裏打ちされており、来る卯年も例年通り悩ましい一年となりそうです。

中国情勢に関して

おはようございます。負けても末脚の強さを証明した「ブエナビスタ」は来年も主役の座を維持しそうで、同じく「真央ちゃん」も復調が期待されます。

さて、クリスマスの休場も明けて本格始動と言いたいところですが、ロンドン市場はまだ振替休日のようで今日も休みのようです。ですが、欧米市場は最大イベントのクリスマス終了から、徐々に投資家が市場に戻ってきます。

昨日も書いたようにクリスマス中のサプライズは「中国の利上げ」でしたが、中国当局がクリスマスという市場参加者不在のなかでの発表は、市場への影響を極力考えてのことで、既に預金準備率引き上げや、金融政策の変更の意思表示後の出来事であることから、市場への影響はある程度限定的と考えられそれほど神経質に考えることもないことと思われます。

但し、一部には利上げによる中国への資金流入が加速されると、アジア通貨全体に上昇する可能性があることから、日本の円も連れて買われる可能性を指摘する声もあるようです。また、資金流入により中国当局が「元売り・ドル買い」の介入を進めると、通貨元が市場に大量に出回り当局の意志に反して物価上昇する悪循環を指摘される面もあるようです。元高をある程度容認することも含めて、当局の金融政策のさじ加減にかかるものと考えられます。

中国当局も「物価抑制」と共に、「経済成長を重要視」するもので、雇用を維持しながら人心を掌握する方針のようで、抗日運動に見られる動きが他ならぬ中国政府に向かうことを最も警戒しているものと思われ、「経済成長維持」の持続に重点を置く政策に基本的に変化はないと思われます。

中国が基準金利引き上げ

おはようございます。今年のラスト・ウィークを残すのみとなりました。スポーツでは「真央」ちゃんスマイルが久しぶりに見られ、今日のフリーでの完全復活にかかります。競馬会では史上最強馬とも呼ばれるブエナビスタが有終の美を飾れるか、「有馬記念」が最強馬を賭けて3時25分にスタートの火蓋が切られます。

さて、昨日の夜のサプライズは中国が今年10月に引き続き政策金利を0.25%引き上げたことです。基準金利は貸し出しが5.81%、預金金利は2.75%と発表されています。これまで数回に渡る預金準備率引き上げや、金融政策を「緩和から通常への見直し」と引き上げ示唆が出されていたことから、サプライズの程度は低いものとなっています。また、世界の金融市場が休場中のクリスマスの最中に発表し、市場への影響にも配慮されたものとなっています。

11月の消費者物価は前年比+5.1%と10月の+4.4%を更に上回るものとなり、利上げの避けられない状況となっていました。一時統制価格に戻そうともしましたが、原料の値上がりに製造者は赤字となり減産が広がる狙いとは逆の減少も起きており、国民生活の負担増からも利上げが避けられない状況となったようです。但し利上げ幅は比較的穏やかにして市場への悪影響を回避したために、来年にかけても数回の利上げの可能性が指摘されています。物価上昇の抑制の最大の解決策は「人民元切り上げ」なのですが、輸出業者への配慮から今後どの程度の切り上げとなるのかは、これまでの政策通り穏やかなものとなることが考えられます。

注意としては、中国の政策金利上昇から海外からの金利差狙いの資金流入が更なる物価上昇を招くリスクもあることで、今回の利上げがどの程度の物価抑制に導けるのか注目されることになります。明日の上海の株式市場の反応が注目されますが、市場が震撼に襲われるほどの影響力はないものと思われ、徐々に織り込まれながら落ち着きを取り戻すものと思われます。中国当局が成長を犠牲にしてまでの物価抑制策に走ることはないと考えられ、中国経済の成長維持が最も共産党体制維持の根源と思われるからです。

朝一番情報

おはようございます。今日はクリスマスイブで海外は3連休に入りますので、従って明日の入電はありません。欧米ではホワイト・クリスマスとなりますが、日本でも北日本がクリスマス寒波により白いクリスマスとなるようです。しかし実際の雪国では大雪は招かれざる客で、除雪作業や交通マヒの元になり、喜ぶのは子供たちだけと相場は決まっているようです。

【金融・為替】
ドル円は82円95銭と休日前より80銭前後の円高・ドル安で推移、ユーロは1.311ドルに続落、対円でも一時108円25銭の円高に触れています。欧州の高債務国の引き下げが尾を引きユーロは主要通貨で売られており、ドルが買われていますが、更に消去法から経常黒字国通貨円が尚買われているとういう展開です。ダウは14ドル高の1万1573ドルに続伸、10年債の利回りも3.389%に続伸しています。格付け会社フィッチ・トレーディングはポルトガル債をAA−からA−に今年二度目の引き下げを行っており、欧州の公的債務問題によるユーロ売りが続いています。一方の米国では足元の年末商戦が好調なことから、来年の見通しに楽観的となっており株高や商品高のリスクテークの動きとなっています。なんとも米国人は楽観的すぎと言うと、日本人は悲観的すぎのことが応酬されるようです。景気指標は強弱まちまちとなっています。

* 11月の米新築住宅販売件数:前月比+5.6%の年率29万件(事前予想は30万件)
* 12月の米ミシガン大消費者信頼感指数:74.5(同74.5)
* 11月の米耐久財受注:総合は前月比−1.3(同−0.5%)
* 11月の米個人消費:所得は前月比+0.3%(同+0.2%)支出は前月比+0.4%(同+0.5%)

【石油市況】
原油は91.51ドル(+1.03)に続伸しており、2年2ヶ月ぶりの高値を更新しています。今週の原油在庫現象や北半球の寒波到来からの暖房油需要拡大の期待の高まりと同時に、テクニカルや投機買いが後押ししています。

【貴金属市況】
金は米景気指標の改善傾向や、株高や原油高にみられるようにリスクテークの流れが進んでいることから、安全資産としての金には売り物が入っているようで、目先1400ドルが遠のきつつあるようです。欧州ポルトガルの引き下げもポルトガル保有金(382.5t)の売却に至るとの噂も上値を重くさせています。出来高もここ数日10万枚を割り込む閑散症状となっており、クリスマス明けの投資資金の流入期待といったところでしょうか。欧州の公的債務問題が長期化される見通しが高まっていることや、米景気回復期待がトーンダウンすると、米財政赤字に視線が注がれる可能性もあり下値も限定的と見られ、きっかけ待ちの様相となっています。

【穀物市況】
穀物市況は株高や原油高からくるリスク選好の流れが波及してぞくしんしています。南米アルゼンチンの高温・乾燥気味の天候も支援材料として引き続く材料視されています。ファンドは本日コーンを7,000枚、大豆を7,000枚ロングし、小麦を1000枚ショートしています。

朝一番情報

おはようございます。「天皇誕生日」の休日、天皇陛下は77歳の喜寿を迎えられたそうです。

【 金融・為替】
ドル円は83円55銭前後で20銭程度の円高・ドル安の水準、ユーロは1.310ドルとユーロの下落が続きドル高となっています。ダウは26ドル高の1万1559ドルに続伸、10年債の利回りは3.338%と小幅に反発しています。

【原油市況】
原油は90.48ドル(+0.66)に続伸しており、原油在庫の減少と米景気の先行き見通しの楽観視に反応を見せています。EIAが22日発表した12月17日までの週間石油統計は以下の通り。市場の事前予想は、原油在庫が前週比230万バレル減少、留出油が同70万バレル減少、ガソリンが同140万バレル増加だった。       
 
                前週比
原油      3億4070万バレル     530万バレル減少
ガソリン    2億1720万バレル     240万バレル増加
留出油     1億6070万バレル     60万バレル減少

【貴金属市況】
金は小幅に軟化しており、他の商品や株価の上昇要因が先行きの米国経済の楽観見通しにあることから、金や債券といった安全資産は売られやすい環境ながら、水準を大きく下げることもなく、いち商品としての金の存在感も混在しているようです。金に関するニュースとしてIMFの保有金売却が全て終了したようで、400トン強の売却が約1年間にわたりコンスタントに売られて、市場はこともなげにこれを吸収することができ、今後は売り圧力の低下観測が必然的に強くなるものと思われます。

【穀物市況】
穀物市況は続伸しており、株高や原油高に見られるようにリスクテークの流れが穀物市場にも好影響を与えているようです。また、南米アルゼンチンの高温乾燥の気候も支援要因となっているようです。

格付け引き下げラッシュの意味するもの

今日も一日お疲れ様でした。

このところ格付け会社による国の格付引き下げや、引き下げの可能性の示唆に改めて“国家の財政赤字”の危機意識が見直されています。

ユーロ圏ではギリシャやアイルランドはすでにEUやIMFの支援を受けて財政再建中ですが、その緊縮財政による引き締めも税収入の減少につながり、更なる財政赤字の拡大につながる危惧が格付けの引き下げ要因ともなっています。また、公的債務の膨らみが調達金利の上昇をもたらせており、財政再建の悪循環に陥っているようにも考えられます。

金融危機後S&P・ムーディーズ・フィッチといった「格付け会社」は投資家の厳しい目線に晒されていて、元をたどれば彼らの住宅債券(サブプライムローン債)の高格付けが危機の発端となったわけです。その意味では今の彼らの立場(信用)も失墜しており、鉛筆を舐めたような甘い格付けから破綻が起これば、彼らそのものの存在も成り立たなくなり必然的に少々辛口の格付けとなっていることも致し方のないところとなっています。

従って各国の財務担当から煙たい存在となっていることは疑い余地のないところですが、格付け引き下げの正当性が市場の信認を得るように至った現在では面と向かった反論も影を潜めています。IMFの支援を受けている両国に続き欧州ではポルトガルやスペインの格下げに及び、ユーロ圏の主導的立場のフランスにまで引下げの噂がひろまっていることが現状です。

事はユーロ圏だけにとどまらず米国の累積債務は13兆5,000億ドルに及び、前年比で2兆ドル(16兆8,000億円)も膨らんでいることが現状で、11月に決まった減税法案の2年間延長は累積額を更に増幅させることは疑いの余地のないところです。先週ムーディーズがトリプルAの格付けを維持できるかどうかは、今後の財政赤字の動向次第と述べていることも頷けるものです。

勿論我が日本とて同様で900兆円規模の債務は小手先の手段ではすでに回収不能の状態で、他人事ではありません。法人税5%引下げの耳障りのいいこととは反対に、我々国民の増税でも追いつかない状況でいずれ消費税引き上げとなることを世論も受け入れる状況ながら、子ども手当といい世論受けばかりに専念して、本格的な財政再建に踏み出すには遠く及ばない状況です。

以下は15日の当ブログに掲載した記事ですが、各国のソブリン・リスクの行方は今後の市場への影響は特に大きく、来年も目が離せないことが現実のようです。

現在の財政赤字のGDP比上位6ヶ国を列挙すると以下のようになります。
① 日本204% ②ギリシャ130% ③米国98% ④ポルトガル97% ⑤アイルランド ⑥スペイン74%
次に外人の国債保有の比率を挙げます。
① アイルランド83% ②ポルトガル75% ③ギリシャ73% ④米国47% ⑤スペイン44% ⑥日本6%

特に欧州のPIIGSと呼ばれる国々の外人保有高の高さが際立っていることがわかり、国際金融市場の目線は GDP比 + 外人保有高 = デフォルトの確率の高低となっているようです。米国にしても50%近くに接近しており、欧州の公的債務問題は決して他人事ではないことが分かります。日本の国債発行残高も800兆円を大きく越えて900兆円に接近しており、毎年40兆円規模で膨らんでいくことを考えると、今すぐでないにしてもいずれ個人金融資産では追いつかなくなることが考えられ、そうなると外国人投資家に買ってもらう選択肢しかなくなるために、決して安泰ではないことが分かります。

相場に対する考え方
相場の世界は人間社会の縮図であり、より大きな視野に立つことが成功の秘訣です。ファンダメンタルを最も重要視し、商社や地場情報を取り入れながら、既存の見方にとらわれない独自の観点から、相場動向を分かりやすく解説し分析してまいります。
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