本日のトピック(最前線情報)

岡地(株)東京支店投資相談部の川原忠夫が相場の分析を致します。商品業界に身を置くこと四半世紀、相場界の酸いも甘いも噛み分けた豊富な経験を生かし、ファンダメンタルを重要視しながら、的確且つ最新の情報を発信してまいります。尚、情報に関しては正確を期するように最善を尽くしておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。利用にあたっては自己の責任の下で行うと共に売買の判断はお客様ご自身で行なってください。

2010年06月

朝一番情報

おはようございます。日本代表PK戦まで持ち込むも力尽き惜敗!世界の壁の厚さを実感させられるゲームでした。死力を尽くしたイレブンお疲れ様でした。そして寝不足の日本のサポーターもご苦労様でした。いつものことながら、決勝リーグの盛り上がりとは逆に、日本の敗戦と共ににわかファンの心はワールドカップへの興味が日一日と薄れていくのでしょうね!「心の移ろいは相場への移ろい」に通じるものもあるようです。

【金融・為替】
ドル円は88円50銭と昨日から25銭程度の円高・ドル安で推移、ユーロは1.219ドルに続落、ダウは268ドル安の9,870ドルに急落して再び四桁相場に逆戻りしています。中国の4月の景気指標が引き下げられたこと、大型の上場案件(2兆円規模)に上海株式市場が急落に見舞われたこと、欧州の債務問題の蒸し返し、米国の景気回復期待の後退、加えて半期末のポジション調整と不安定要素が入り混じりリスク回避に偏った市場展開に見舞われたようです。ユーロ・円は一時107円台と8年7ヶ月ぶりの水準、リスク回避のしわ寄せが円やスイスフランに偏る展開のようで、米10年債の利回りの3%割れ(2.9527)も昨年4月以来の水準となっています。米景気指標では4月の住宅価格は伸びを示したものの、住宅支援の打ち止め(4月末)の駆け込み需要が背景と見られ5月以降の価格動向が注目され、消費者信頼感指数が予想を大きく下回ったことも市場の動揺を誘ったようです。

* ケースシラー住宅価格指数:前念同月比+3.81%(事前予想は+3.5%)
* 6月の米消費者信頼感指数:52.9(同62.9)

【石油市況】
原油は75.94ドル(−2.31)に大幅続落しています。中国や米景気指標の後退、欧州の公的債務並びに民間金融機関の資本不足懸念、ドル高・株安と外部要因が全ての下げ要因となっています。

【貴金属市況】
原油市況同様に貴金属にも売り手仕舞いの動きが波及しており、代替通貨の金市場のみが前日比プラス推移している程度の動きです。SPDRは4.26トン増の1,320.44トンと記録を更新する動きからも、米国債への資金移動の一部が金に流入していることがわかります。

【穀物市況】
穀物市場も続落、外部環境の悪化が穀物相場をも上値の重い展開を強いているようです。加えて作付け増加観測や作柄の良行から、ファンドの人気も例年になく盛り上がりに欠ける展開を強いているようです。本日のファンドはコーンを1万5,000枚、大豆を5,000枚ショートしています。

朝一番情報

おはようございます。梅雨真っ盛り!今夜の日本代表が不快指数を吹き飛ばして欲しいところです。

【金融・為替】
ドル円は一時89円割れを試すものの89円35銭と昨日とほぼ変わらず、ユーロは1.227ドルと反落、G20での財政赤字削減から欧州の経済成長の鈍化観測に売られています。ダウは5ドル安の1万138ドルと小動きに終始して終えています。今夜はケースシラー住宅価格指数と消費者信頼感指数が注目されます。今週は四半期末のポジション調整が為替・株式・商品の各市場に見られ、米景気指標の後退や週末の雇用統計等が波乱要因となっています。

* 5月の米個人所得:前期比+0.4%(事前予想は+0.6%)支出は同+0.2%(同+0.2%)

【石油市況】
原油は78.25ドル(−0.61)に反落、熱帯性暴風雨アレックスは今日・明日にもハリケーンに成長するものの、テキサスかメキシコに再上陸の可能性が高く、メキシコ湾の原油生産への影響が限定的となる見通しに反落しているようです。JPモルガンは今年の原油価格見通しを88ドルから81.75ドルに下方修正しており、下方修正の背景を米ドルの対ユーロでの上昇としています。

【貴金属市況】
金は序盤に1,263ドル台に上昇をみせたものの先の高値挑戦に失敗し、その後はストップロスの売りに押されたことや四半期末の手仕舞い売りに押されて1,235ドル近辺に急反落して今日の取引を終えています。四半期ベースの益出しに押される流れと思われ、相変わらず1,230ドル〜1,260ドルのボックス推移に終始しています。週末の雇用統計というイベントを控えることや、週明け5日の独立記念日を含む3連休もありボックス推移が続きそうな雲行きです。

【穀物市況】
コーンを中心に続落基調でファンドはコーンを1万2,000枚売り、大豆を4,000枚買っています。こちらも四半期末のポジション調整主体の動きのようです。天候・生育に極端なストレスは見られない状況で、原油や貴金属市況ほどの盛り上がりに欠ける動きが、冴えない今年の穀物市況の象徴のようです。

G20サミットより

G20首脳会議は「2013年度までに少なくとも、財政赤字を半減させる」との数値目標を明記し、「成長に配慮した財政健全化」を進めると首脳宣言を採択しています。景気浮揚のために極端な財政再建は控えるべきと主張した日米に配慮し背景もあり、日本には目標を強制しない「例外扱い」としたようです。G8でも意見が分かれる中、新興国を含めた20カ国もの首脳が集まり意見を集約するのは大変な難事業で、二つの相反する目標が首脳宣言となったようです。

さて、「ユーロ売り一辺倒」から少しずつ軸足が「ドルの行方」のほうに動き出しているようです。ギリシャ危機に対応するためにECBによる債券の買取、また、欧州の主要銀行に対するストレステストを7月中旬に発表するとしており、その努力の成果もありユーロ売りに投機筋も少し飽きがきつつある段階で、米国の景気指標である住宅や雇用・個人消費といった指標にやや後退色が出だしているようで、米国経済に陰りが見え始めたところにドル売りに動きているようです。

依然に書いたようにソブリンリスクが欧州のみに止まらず、米国や日本に飛び火する可能性の一面のようにも考えられます。財政政策より経済成長を重視するオバマ政権は、G20加盟国が財政再建のために緊縮財政に走られると、政権の「輸出倍増計画」が停滞する可能性があり、しかも、中国の元切り上げに消極的では米経済の成長が阻害される可能性があり、危機感を持ち出しているようです。その上に財政補助が途絶えた自動車や住宅購入に影響が出始めており、市場は米国の景気先行きにネガティブな見方を始めたようです。

欧州や今回のサミット開催国のカナダが財政再建の緊縮財政に舵を切るなか、米国のほうでは追加経済対策も視野に入れており危機からの脱出方法の違いが鮮明となりつつあります。米国の方向では財政の支出に見合った経済の建て直し期待、欧州では緊縮財政から景気にはある程度目をつぶって公的負債減らしを期待するというものです。日本はその中間に位置するもので、どちらの方法が公的債務を減らし健全財政への道をたどれるのか歴史のなかには答えはないようで、今後の成り行きを見ることになります。

08年からの危機対応モードから各国の財政赤字が膨らみ、それが現在のソブリンリスクの高まりにつながっていて、リスクを排除する方法論が違うということになります。最も欧州に関しては市場に財政再建を課されたことから、待ったなしの対応をせざるを得ないことが実際問題で、多少なりとも市場の待ち時間の余裕がある日米とは背景から違いがあるようです。どちらにしろ日米欧共に公的債券の拡大にはこれ以上の余裕がないことも事実、通貨や国債の信任を維持させることは並大抵の努力ではすまないようです。

今年も折り返し地点です

おはようございます。梅雨の蒸し暑い夜が続きますが、ワールドカップは既にベスト8が4チームに、ガーナ・ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツとビックネームが連ねています。明日の日本は予選リーグそのままの勢いを堅持して全力を出し切って欲しいところです。

さて、早いもので6月も最終週になりました。今年一年の折り返しを迎えたわけで、欧州危機が示すように「民から官」に危機が乗り移ったようです。開催中のG20でも「財政再建」が主要議題となっているようですが、急速に財政を絞り込むことには米国中心に反対意見も多く、合意の取りまとめに紛糾しているようです。

ファンドは今週の残り3営業日に2四半期の益出し期限を迎えており、相場の不安定要素となっているようです。上述したように官が民を救うことが出来ても、官を民が救うには力不足は否めないようで“かんかんがくがく”の日々が今後も数年間続くことが想定されます。

中にはデフォルトに陥る国が出ても不思議のない状況で、日本とて例外でないことは明白です。市場が国家を選別する厳しい目線が注がれ、国民はその矢面に立たされることになります。救われる国、救われない国と二極化の様相となりそうです。

我々は救われる投資家として生き残りをかけるわけですが、銘柄の取捨選択は勿論、幅広い視野を求められるのが成功の秘訣というところでしょうか。5年後、10年後に目をむけ目標に従ってこつこつと積み上げて行きたいものです。

週末には6月の米雇用統計が待ち構えており、今回の事前予想は11万人の雇用減と厳しいようです。世界経済の難局は続きそうです。

日経プラスワンセミナーより

おはようございます。

ワールドカップもベスト16が早くも激突し、ウルグアイとガーナがベスト8進出を決め、アメリカと韓国が涙を飲んでいます。日本はパラグアイと29日に決戦を控えており、予選リーグの夢を実現させてベスト4目指して頑張ってほしいところですね!

さて、昨日のセミナーですが、講師はおなじみ豊島逸夫さん(WGC日韓代表)と深野康彦さん(FP)でした。日経新聞者主催とあってか、相場観や今後の見通しに関しては口の重いものでしたが、先物会社主催とは違うので当たり前といえば当たり前でしょうか。

そんな慎重な言い回しの中からひとつふたつ紹介します。豊島さん米国のマネタリーベースが09年に急増してほぼ倍増していることを指摘し、バーナンキ議長があくまでも非常事態対応で、事が過ぎれば資金回収に向かい平常時に戻すと主張するものの、供給はたやすいものの回収の難しい点を指摘、しかもECBまでもがギリシャ債の購入を始めたことから、米国から欧州に広がる資金供給の回収は今後困難を極めると指摘しています。

金価格に関しては「実質金価格」を提示して、80年の800ドル台は現在までの物価上昇(インフレ率)を加味すると、おおよそ1,600ドルを示現してもおかしくないと欧米市場の金関係者が指摘しており、瞬間風速の870ドル台は2,200ドルを意味するとのこと、当サイトでも以前に取り上げていますが、改めて新鮮味を感じさせられました。

また、昨日の当サイトでも取り上げたように、現在の円建て金価格は円高により今年の高値にはまだ100円余り及ばないことを上げていますが、深野さんの意見によればゼロの付く年と5の付く年にドル円相場は転換していると指摘、今年は2010年ですからゼロの年にあたり、ドルがボトムを付ける可能性があることを指摘、円高から円安方向に転換して、しかもドル建て金価格が上昇を続けると「円高金価格」も大きく上昇するというシナリオでした。

金価格を強気する当サイトではあえて悪材料を割愛しておりますので、そのあたりは了承ください。16万トンの地上在庫は株式や債券市場からすると弱小市場であり、輪転機にかけると無尽蔵に刷れるペーパーマネーとは一線を画することになります。時価総額600兆円市場は世界の投資家の取得ニーズにはとても満たしきれないことが現状、となれば価格上昇によって需給を調整することが今後の課題となるものと思われます。目先の値動きではなく、3年、5年、10年の長いスパンで見ると有望な市場であることに疑いの余地はないように思います。

週末の海外市況

おはようございます。昨日は相撲賭博に揺れる両国に居酒屋を開業する知人のお店がプレオープン、ついつい飲みすぎたようです。今日の午後は「日経プラスワンセミナー・資産形成と金」が丸の内であり聴講しにいってきます。参考になるものがあれば改めて更新します。

【金融・為替】
ドル円は89円20銭と30銭の円高、ユーロは下落後に反発して.236ドル、ダウは7ドル安の1万145ドルで今週の取引を終えています。米GDPや個人消費の確報値が下方修正されたことや、ギリシャのCDSが連日の過去最高値を記録して全般にリスクには慎重な動きとなっているようです。G20への関心も世界経済への好影響への期待はやや後退しているようです。中国人民元は昨日今週の高値を取りG20対策もみえみえ、来週の動きにより中国当局の本音が元価格に反映されるものと思います。米金融法案は金融機関の自己ディーリングとデリバティブ取引が一部容認される見通しで、金融界や市況にとってはいく分好材料とみられます。

* 第1四半期の米GDP確報値:+2.7%(予想は+3.0%)
* 第1四半期の米個人消費:前期比+3.0%(同+3.5%)
* 米ミシガン大消費者信頼感指数:76.0(同75.5)

【石油市況】
原油は78.86ドル(+2.35)と急反発をみせています。メキシコ湾で大型の熱帯性低気圧に発達する見通しの低気圧の予報に反応したもので、ハリケーンシーズンの到来を材料にしたものです。発達の規模と方向性に注目ですが、少し過剰反応を示しすぎのようにも思われます。

【貴金属市況】
株式や為替市場がリスク回避の動きを強め、安全資産の金への動きが選好されています。終わり値ベースでも1,255ドルを維持して今週の高値で引けており、週中の1,225ドルがボトムとなっています。また、原油市況が最近の戻り高値で終えたことも貴金属の支援要因となっている模様です。欧州のソブリンリスクの高まりから、これまでのコモディティの側面+金融商品として押しも押されもしない立場を着実に増しているようです。ただ円建て金は円高に押されて、今年の高値にまだ100円幅程届かないところがもどかしいところです。

【穀物市況】
本日のファンドはコーンを6,000枚ショートし、大豆を1,000枚ロングしていることからも、原油や金の上昇が穀物市場へ及ぼす影響の小さいことがわかります。天候面からの支援材料がこの時期ないと、豊作期待の高まりが増すばかりで今年の穀物相場への妙味の薄さを通関させられる次第です。

朝一番情報

おはようございます。まずは日本代表のワールドカップ決勝トーナメント進出おめでとう!ビッグマウスの静かな闘志が勝因となりました。ディフェンスも各段に進歩していて、更なる高見へのチャレンジが楽しみです。

【金融・為替】
ドル円は89円50銭と昨日から30銭の円高・ドル安で推移、ユーロは1.232ドルと軟化、ダウは145ドル安の1万152ドルに反落しています。ギリシャのCDS(債務危機の保証料)が最高値に達しており、欧州のソブリンリスクは引いては押し寄せる状況、米国ではFOMCの声明文にも見られるように、景気回復のトーンをワンランク引き下げて不透明感が潜在的リスクと見なされているようで、金融も為替もリスク回避の動きを余儀なくされているようです。週末はG20の内容に注目が集まります。

* 5月の米耐久財受注:総合は前月比−1.1%(事前予想は−1.3%)
* 米週間新規失業保険申請件数:45万7千件(同46万件)

【石油市況】
原油は76.51ドル(+0.16)と期近3眼月のみが小反発、製品もガソリンが小幅高、ヒーティングオイルは小幅安というまちまちの展開となっています。株価の下落に見られるように、欧州の公的債務問題や、米国の景気回復期待後退が原油市況の圧迫要因となっています。

【貴金属市況】
金は金融情勢の不透明感の漂いなか安全資産としての価値見直しからの買い物に上昇、1,240ドル台に戻しています。欧州では公的債務問題と金融機関の資本の劣化観測が根底に流れ、米国では財政支援策の終了とともに住宅の売れ行きがぱったり止り、欧州からの金融不安も広がり金が見なされる背景は今後も継続するものと思われ、1,230ドル割れは実需の触手も伸ばすことも下値を固くさせているようです。中銀・投資需要の旺盛さも金価格の高水準維持につながっています。まだもち合いですが下値きり上げ型の方向性が高いように思われます。

【穀物市況】
コーン2,000枚、大豆5,000枚の本日のファンドのショートが示すように、株価や景気の先行き見通しが不透明となっていることや、天候状況の順調な経緯が穀物の上値を拒む展開が継続しているようです。

朝一番情報

おはようございます。梅雨の晴れ間が暫く続きそうです。明朝はいよいよ日本代表が決勝トーメント進出をかけたゲーム、悔いのないように頑張ってほしいところですね。

【金融・為替】
ドル円は89円90銭と昨日から50銭の円高・ドル安で5/27以来の90円割れ、1.231ドルに急反発しており、ダウは4ドル高の1万298ドルと小動きとなっています。昨日の中古住宅販売に陰りが見られる中、新築住宅販売も不調で1964年の統計開始以来前月比32.7%のマイナスと発表されて、ドル売りが進み株価動向もネガティブなものとなりました。FOMCは予想通り金利据え置き、事実上のゼロ金利政策を当面維持することの正当性が確認されており、過剰流動性も継続されるものと思われ、景気指標の改善に疑問符のつくなか、行き場のない資金の行方が注目されることになります。市場では2四半期のヘッジファンドの決算にからむ動きも見られ複雑な動きとなっています。

* 5月の新築住宅販売件数:前月比−32.7%の年率換算30万件(事前予想は41万件)
* FOMC:政策金利を据え置き(ゼロ〜0.25%)

【石油市況】
原油は76.35ドル(−1.50)と大幅に続落、株安・ドル高・米景気の先行き不安に加えて、EIAの原油在庫の予想以上の増加も売り要因となったようです。EIAが23日発表した6月18日までの週間石油統計は以下の通り。事前予想は原油在庫が前週比80万バレル減少、留出油が同130万バレル増加、ガソリンが同10万バレル減少でした。       
 
            前週比
原油     3億6510万バレル    200万バレル増加
ガソリン   2億1760万バレル    70万バレル減少
留出油    1億5690万バレル    30万バレル増加

【貴金属市況】
金は反落して1,235ドル近辺に下落しています。6月決算によるファンドの大口の益出しも指摘される今週の動きですが、コメックス金の取組高は60万枚を維持しており、益出しと同時に大口の買い物が下値を支えるというダイナミックな内部要因となっている模様です。FOMCの金利据え置きの長期化観測は金利を生まない金にはプラス要因と見られ、1,210から1,250ドルも大もち合いが継続されています。円建ては為替の90円割れに軟化する模様ですが、80円台に長居するものとも思われず、3,500円台の長期化は避けられると個人的には見ていますが、果たして・・・・・!?

【穀物市況】
本日のファンドはコーンが1万枚、大豆が5,000枚のショートが示すように外部環境がドル高・商品安に振れていることが売り要因、中西部の天候要因が依然として穀物価格を大きく持ち上げるには力不足で、ファンドのロングが継続されて積み上がる状況にないようです。

ブブゼラの騒音と中国・公的債務と金市場

19日土曜に中国銀行から発表された「元切り上げ」報道は、ワールドカップの最中でも各国が一斉にトップ扱いの報道となり、その期待に対して週明け21日には0.4%強の一日の変動幅の限界に迫る元高・ドル安に振れて、株価・商品市況のその期待値に上昇しました。ところが22日には人民銀行が早くも元売り・ドル買い介入を行い、前日よりもドル高に向かう動きとなり、予想されたこととはいえ元高の進行スピードが緩慢であえることが確認されました。ぬか喜びの前日とは打って変わって市況は反転し、ネガティブなムードが再び市場を覆うことになったようです。

26日からカナダで開かれるG20向けの対策であることは明白で、その効果狙いであれば今週末25日頃のほうがより効果的であったように思います。ところでワールドカップの鳴り物ブブゼラの騒音が物議を醸していますが、どうやらアフリカの民族楽器も中国の大量生産物が大半を占めているようで、元切り上げのポーズに対して中国に向けて市場関係者は一斉にブブゼラの騒音攻撃でもしたい心境では・・・!?

今日の日経平均は簡単に1万円の大台を割り込み、再び4桁の攻防に逆戻りしています。もっとも中国元を巡る悲観色だけでなく、仏大手金融BNPパリバの格付け引き下げ報道から、欧州の金融機関への資本に懸念が生まれたことや、米国でも住宅減税の終了から中古住宅の売れ行き不振が確認される事態となったこと等、欧米の景気回復ムードが後退したことも株価や商品価格反落の要因と見られるようです。08年の金融危機以降に各国政府がこぞって財政出動し、景気のてこ入れを行った効果もどうやら財政の見直し機運と共に終了に向かい、民間任せの期待も現実も民需の厳しさに遭遇という図式のようです。

さて、5月の連休明け以降株価も商品価格も調整色を強めるなかで、金価格だけが史上最高値を更新し、その後いく分調整が入っているものの1,200ドル台の高値もち合いとなっています。上述したように財政出動による各国の公的債務の拡大が、伝統的な資産である国債や通貨に対する不安につながり、無国籍通貨である金に一部の資金がシフトされて価格上昇の背景となっています。一般論では債券と株式の市場規模は兆円の上の単位「1京円」といわれています。

そのうち年金基金や富裕層の投資資金は3,000兆円といわれ、その一部が金のETFや現物投資に動いていると考えられています。因みに世界の金の地上在庫は16万トンとみられ、世界中の金を買い占めるには時価で600兆円、最大金ETF・SPDRは総額で5兆円規模なので、富裕層や年金が本気で買い出すと市場規模の狭さもあり、1,200ドル台の価格帯ではすまないものと思われ、中長期の見通しは1,300ドルから1,500ドルも視野に入るものと思われます。勿論公的債務の拡大傾向が終息して、ソブリンリスクが低下していく流れであれば金の存在感自体が否定されるものの、ここ数年間はリスクの低減の可能性は低いものと考えられます。

朝一番情報

おはようございます。今日は一日降りそうですね!夏至が21日でしたから、これから少しずつ昼時間が短くなり12月の冬至へと続きます。

【金融・為替】
ドル円は90円50銭と30銭の円高・ドル安で推移、ユーロは1,226ドルに続落、ダウは148ドル安の1万293ドルに続落しています。中国元は21日に0.4%強買われてスタートしたものの、昨日は対ドルで下落したことからG 20への対策以上のものでないことが市場の失望を誘い、元高効果も僅かに一日で終えたものと見られます。また、格付け会社フィッチは仏大手金融BNPパリバの格付けを引き下げたことから、欧州の金融機関への資金調達面の問題がユーロ売りを再び加速させるよういんとなったようです。米国でも中古住宅販売が事前予想のプラスからマイナスと発表され、住宅購入の税控除が途切れたことから個人消費の落ち込みも含めて懸念されることのようです。

*5月の米中古住宅販売:前月比−2.2%の年率566万件(同+6.5%の615万件)
*4月の米住宅価格:前月比+0.8%(事前予想は+0.4)
*FOMC開催23日まで

【石油市況】
原油は77.21ドル(−0.61)と反落、欧州金融機関への不安からユーロ安・ドル高が進んだことや、住宅指標の失望に株価が下落したことが原油価格の重石となっています。ゴールドマン・サックスは欧州と中国の成長鈍化見通しから、2011年の原油価格見通しを110ドルから100ドルに引き下げています。

【貴金属市況】
金はアジア時間と欧州時間で1,230ドル割れを試されたものの、下値の堅さが確認されたことから1,230ドル台でのもち合いに移行し、ニューヨーク市場では1,240ドル近辺に戻して引けています。SPDRは5.17トン増の1,313.13トンに増加しています。5月はロシアやサウジアラビアの公的保有も大きく増加しており、欧州中銀の第3次ワシントン協定での売りもIMFの売りが目立つ程度で、売り物を吸収しながら投資用金の増加傾向が継続しています。

【穀物市況】
穀物市場は前日の中国元きり上げ報道に動意を見せたものの、本日はドル高や株安・原油安の外的環境の悪化の影響もあり不冴えな動きとなっています。ファンドは本日コーンを8,000枚、大豆を3,000枚ショートしています。
相場に対する考え方
相場の世界は人間社会の縮図であり、より大きな視野に立つことが成功の秘訣です。ファンダメンタルを最も重要視し、商社や地場情報を取り入れながら、既存の見方にとらわれない独自の観点から、相場動向を分かりやすく解説し分析してまいります。
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