本日のトピック(最前線情報)

岡地(株)東京支店投資相談部の川原忠夫が相場の分析を致します。商品業界に身を置くこと四半世紀、相場界の酸いも甘いも噛み分けた豊富な経験を生かし、ファンダメンタルを重要視しながら、的確且つ最新の情報を発信してまいります。尚、情報に関しては正確を期するように最善を尽くしておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。利用にあたっては自己の責任の下で行うと共に売買の判断はお客様ご自身で行なってください。

2008年07月

景気指標に一喜一憂

今日も一日お疲れ様です。

日本時間に入りユーロが確り推移、昨日の日本時間夜23時頃に1ユーロ・1.552ドルにドルが上昇したものの、現在は1.562ドルにドルは反落、金のスポットも同様に昨夜23時頃に894ドルに下落、ドル相場に連動する典型的な動きとなっています。今日のドル安を受けてスポットは910ドル台に返り咲き、ドル相場次第というように翻弄されている状況です。

最近のドル高要因のコメントで目を引くのは、米景気指標が事前予想を上回っていることに対して、欧州やアジアの景気指標は逆に悪化しているというもの?冗談じゃないですよ!極端に悲観的な予想がそうでもない程度で、住宅価格下落や金融界の決算や増資など相当に深刻な問題となっています。日本の失業率4.1%は米国のそれに比較すると健全なもの、ドイツの景況感の悪化は同じく米国の深刻さとは比較にならないものです。

米国の景気は思ったほど悪くないにしろ、日欧や新興国経済を含めても最悪の経済状況に異論はないことでしょう。ただし、事前予想が極端に悪すぎるために安堵感が広がるという苦肉の現象?果たして今夜の4−6月期のGDP(事前予想は前期比+2.0%)はどのようなものか注目、また、日本時間18時のユーロ圏消費者物価指数(同+4.1%)がどのような影響を及ぼすのか?いずれにしろ景気指標の良し悪しが金融のイニシァティブを握る日々は当面続くのでしょうね。

投機抑制は下院で否決される

以下は時事ニュースの紹介記事です。

【シカゴ30日時事】米下院は30日、農業委員会のコリン・ピーターソン委員長(民主党)提案の「商品市場の透明性とアカウンタビリティーに関する法案」を採決したが、必要な2/3の賛成が得られず、法案は秘訣された。主に商品先物市場での過剰投機を抑制することを目指した法案では、25日の下院本会議で「エネルギー市場での過剰投機抑止法案が、やはり共和党の反対で不成立となっており、機関投資家などに対するポジション制限強化を柱とする投機抑制策は8月の議会休会前の成立はなくなった模様との事。

25日の上院と同様に、共和党側がエネルギー価格の高騰抑制には「沖合い油田開発の規制解除」が不可欠だとして、法案伊反対の立場をとったようだ。結局先物市場の投機抑制策は、議会の本筋とは関係のない政治的駆け引きに巻き込まれるかたちで、導入が一先ず見送られることになった。投機抑制の不透明感が払拭され、心理的な圧迫要因がなくなったことは大きいとの見方も浮上。

朝一番情報

おはようございます・

【金融・為替】
ドル円相場は108円10銭台と昨日から20銭程度の円安・ドル高で推移、ユーロ・ドルは1.575ドルとドルが若干確りとなっています。ダウは急続伸して186ドル高の1万1,583ドルに急騰、米民間の雇用統計が予想外に増加を見せていることを好感してドル買い・株買いにつながっており、原油の急反発の影響は限定的となっています。市場では米国の景気指標が以外に底固いものとなっており、一方の欧州やアジアの指標の悪化から相対的にドルが買われる地合を強めているとの事、今夜の4−6の米GDP明日の米雇用統計が注目材料となっています。

* 米ADP雇用統計:9,000人の増加(事前予想は6万人の減少)
* 米MBA週間住宅ローン申請件数:−14.1

【石油市況】
原油は急反発しており126.77ドル(+4.58)に上昇、週間在庫統計でシーズン中のガソリン在庫との急減に反応していることと、目先売られすぎによるショートカバーからの上昇。
EIAから発表された7月25日までの週間在庫統計は以下の通り。市場の事前予想は、原油在庫が前週比160万バレル減少、留出油が190万バレル増加、ガソリンが20万バレルの増加だった。
    
         前週比
原油     2億9520万バレル      10万バレル減少
ガソリン   2億1360万バレル      350万バレル減少
留出油      1億3050万バレル            240万バレル増加

【貴金属市況】
金は続落して一時900ドルを割り込み893ドルに軟化するも、原油の反発から安値より10ドル前後の反発を見せています。最近のドル高・株高傾向を嫌気する売り物が連日出されており、取組高も45万枚を割り込んで最近のピークからは5万強の減少を強いられています。ファンドの撤退がいい押しを提供してくれるのがこれまでの常、地肌が見え始めた金価格というところでしょう。円建ては本日30円強の下落が想定されますが、この水準は弱気禁物という水準、白金は昨日久しぶりに買い参入したファンド勢の出方次第というところ。

【穀物市況】
穀物は続伸、高温乾燥予想が後退し一時売り込まれる時間帯があったものの、原油の急騰に影響を受けて買われたことや、最近の急落からアジアの買い付け増加や、エタノールや飼料向け需要が戻してきたとの実需の買いものが下値を支える図式、一方で小麦の世界的な豊作や、米国をはじめとして北半球の天候が相対的に穀物の生育に適しているとされ、戻りも限定的との見方もあります。

規制強化の商品市場について

米国では商品先物市場に対する監視が厳しくなっており、7月に入ってからの特に石油市況や穀物市況の急落は、規制強化を画策する当局の思惑が影響していることは否定しがたい事実となっています。価格の下落とともに総取組が大きく減少していることが、その証明と言えるでしょうか。米商品先物取引委員会(CFTC)は、インデックス・ファンドの建玉制限等に関する報告を、最終的には9月15日までに議会に報告することになっています。

先週はCFTCがオランダのファンドが原油市場の価格操作から、100万ドルに上る不正利益を出したとして、刑事告発をした事件は記憶に新しいところです。29日はCFTC主催の農産物に関する諮問委員会でチルトン理事は「インデック・スファンドの資金引き上げを招くような投機規制は望ましくない」との認識を示すと同時に、「投機資金が農産物先物市場に与える影響については懸念を示している」というCFTCの立場の難しさを露呈したかたちになっています。

チルトン委員はCFTCの立場からは独立した調査委員会の設置を提案しており、市場の活況を目的にした委員会と、一方では市場の透明性と正当性が問われる難しい選択を迫られる状況となっています。いずれにしろ穀物や原油の市場からは、いずれ訪れるであろう当局の規制を前に既に相当部分のファンドの撤退が始まっており、規制開始に備える動きとなっています。ネガティブな見方をすると今年のピーク時の取組高は今後望みようもなく、相場の流れも上昇を阻害されるとの考え方があります。

しかし、本来の市場は個々の商品のファンダメンタルを反映するものであって、取組高や人気の若干の後退があったとしても、強い銘柄は強く、弱い銘柄は弱いことが原則、変動幅のボラティリティは若干小さくなるものの、ファンダメンタルを写すことに変化ないものと考えられます。もちろん、その上で取組高が増加して、人気がつけば尚いいということでしょう。

場中より

日経平均はNY高を受けて150円余り確り、円安も輸出企業の業績アップの予想につながり追い風となっています。NY市場ではメリル・リンチ証券の9,000億円の損失処理と同時に増資の動きが好感されているようです。債務担保証券ではもうひとつの保有大手シティが追随するのか注目というのが、今朝の報道内容です。

一方でケース・シラー住宅価格指数は、前年の平均からほぼ2割に近い下げとなっており、サブプライムに始まった金融危機は、住宅価格の下げとまりを見ないことには収束に向かうとは言えない情勢となっています。今日発表された消費者信頼感指数は、事前予想より良かったとはいえお世辞にも褒められた内容ではないことから、米国の経済情勢は一層深刻なものと考えられます。

それとは逆行するように、ドルがここのところ堅調推移しています。3月のベア・スターンズ救済に始まり、洞爺湖サミット前後の“口先介入”、住宅公社2社の公的資金導入法案の通過と、金融当局の迅速な対応を評価する面も出ています。また、景気後退の可能性が米国のみならず、日欧や新興国経済にも波及する動きとなっており、ドルばかりでなく、円やユーロ・中国元・インド・ルピアと米ドルに限らず通貨への信任そのものが揺らぐ情勢となっています。

ドルの堅調についてはいよいよ米国本国の景気後退が鮮明となると、グローバル企業が外貨をドルに換えて本国送金するから、米景気後退は逆にドル高要因とする見方もあります。既にそうゆう動きが現実に起き始めているのかも知れません。ちなみにドル円相場の転換点は6/16の108円57銭の水準、ここを抜けると110円台の円安進行の可能性も出てきます。

金は原油が7/11の最高値147.85ドルから本日の安値120.42ドルまで、値幅で26.85ドル率にして18.2%の強烈な下げに見舞われているものの、直近の高値7/15の989.6ドルから8%前後下の水準でもみ合っていているのが現状で、原油の影響力は限定的なものとなっています。しかし、ドル相場の強弱に振り回される状況から脱出することもできず、3/17の最高値1,014ドルを上に抜けるには未だ時間を要するものと思われます。

朝一番情報

おはようございます。

【金融・為替】
ドル円相場は108円10銭台に前日からは60銭強の円安・ドル高で推移、ユーロ・ドルは1.558ドルにドルが強含んでいます。ダウは急反騰しており266ドル高の1万1,397ドルに上昇、消費者信頼感指数が事前予想に反して上昇したことや、メリル・リンチの9000億円の損失計上を急ぐと同時に、増資のめどをつけたことを好感され株とドルが反発する状況となっています。

* 7月の米消費者信頼感指数:51.9(事前予想は50.0)
* ケースシラー住宅価格指数:前年同月比−15.8%(同−1.0%)

【石油市況】
原油は急反落122.19ドル(−2.54)、消費者信頼感指数の好転を材料にドルの買戻しが入ったことを嫌気する動き、ナイジェリアの供給問題の浮上より、景気後退による需要減退を見込んだファンドの売り思考の前に上値の重い展開を余儀なくされています。

【貴金属市況】
金は原油安・ドル高に目先抗しきれずに反落920ドルを割り込む軟調推移、英ETCは金のロングが前週比3000万ドル増加し10億ドルを超えるポジションに膨らんだことと、原油ショートが若干減少したものの、未だ2億1,600万ドルのショートと、ダウ・ジョーンズから報道されています。

【穀物市況】
コモディティ全般に特に工業品関連がドル高も手伝い軟調推移を余儀なくされるなか、コーン・大豆は前日の夜間比では反発する状況、コーヒーや砂糖といった食料品関連が反発を見せています。コーンは最近の下げによって日本向けの大口成約が発表されたことや、当業者の買い物からの反発となっています。また、産地に週末気温の上昇予報が出されたことから上昇に弾みがついたものと思われます。大豆もコーンの反発から安値より30セント前後の反発を見せています。

引け雑感

今日も一日お疲れ様でした。

金は昨日の引値圏でも揉み合い症状、出来高もこの時間帯で3万枚前後と冴えないものとなっています。白金は朝方こそ入電高を素直に受けて、高寄りするも前日比でマイナスに沈む場面もあり、国内のファンド勢が売り越しに転じたことから動意に欠ける展開を強いられています。いつまで景気後退からの需要減退を材料に売り込むのか、押さえ込むにも限界があるものと思われます。6,00円割れでは実需の買い物も入っており、南ア関連の供給側の材料は深刻な状況をもたらす可能性も秘めています。

工業品銘柄に値動きの乏しいなかで、穀物市況は下値波乱を強いられています。海外市場はここ数日で下値目処が見える状況に接近するも、国内市場は内部要因の悪化から連日取組を減らしており、買い方の玉整理を強いられる展開が継続しており、大手買い方の整理が進んでいるものの、すっきり投げきる状況にないことから灰汁抜けを遅らせているようです。但し売り方は外資系商社に加えて、昨日あたりから国内大手商社のショートカバーも入りだしており、コーンあたりは先物の下げが限定的となっています。

* 東穀取から8月の証拠金と値幅制限に一部変更があります。

銘柄      現状 → 新証拠金       値幅現状 → 新値幅制限
コーン    6万円 → 7万5千円       800円 → 1,000円
一般大豆   12万円 → 13万5千円     1,600円 → 1,800円 

朝一番情報

おはようございます。

【金融・為替】
ドル円相場は107円45銭と昨日から10銭程度の円高、ユーロ・ドルは1.573ドルとほぼ変わらずと比較的静かな入電、ダウは急反落239.61ドル安の1万1,131ドル、ミネアポリス地区連銀のゲイリー・スタン総裁FT紙に米国のクレジット・クランチの悪化見通しを伝えており、加えて原油の反発が株価の下押し要因となっています。本日の景気指標はとくになし。

【石油市況】
原油は反発124.73ドル(+1.47)ナイジェリアで、武装勢力が二つの主要パイプラインを攻撃したことが上昇要因、短期間での急落に対するテクニカル要因の戻りとも思われます。
加えてイラン大統領の核開発計画拡大発言も心理的な影響を及ぼているようです。

【貴金属市況】
金は930ドルを挟んで小動きに終始、ドル相場の膠着状況を横にらみする展開、今日は原油高・株安という好材料ながら反応は限定的なものとなっています。白金は前日に続いて続伸、JM社の予測の下限価格を先週後半下回ったことから、値ごろ感の打診買いも散見される動き、来週以降の南ア情勢にも注目。

【穀物市況】
穀物は週末に引き続いて続伸、ただし昨日の夜間取引の範囲内の動き、産地での高温予報やアイオワやミズーリ州の豪雨に反応した動きとなっています。また最近の急落からエタノール業者や家畜業者の需要喚起も伝えられており、5ドル台ではぼちぼち値ごろ感が出るのか、作柄は若干改善されての発表ながら事前予想の範囲、夜間の反応が注目されます。大豆の作柄も若干好転しておりますが、開花遅れやコーンの実入り・シルキングの遅れが今後回復するのか注目。

大引け雑感

ファニー・メイとフレディ・マックの米住宅公社2社に対する支援法を巡っては、意見は真っ二つに分かれているようです。これによって公社の信用不安は遠のき、市場は正常化に向かうという楽観的見方と、いやいや公的資金導入となれば、資金導入が底なし沼的な見地から大インフレが起こるとの悲観的な見方です。

住宅不安に対する米政府の対策が公的資金流入から社債の保全を図ることに対して、証券では空売りの禁止、商品では建て玉制限(事実上の空買いの禁止)に発展する可能性があり、あの手この手に訴えて、国民の不安心理や不満(ブーイング)への対応に追われる状況、経済に対する一方政治外交面では北朝鮮やイランへの懐柔策から緊張の緩和方向に躍起の状態、ブッシュ政権の末期(レイム・ダック)の時点で、内にも外にも妥協を図り、ダメ大統領の烙印を押されないように、イラク政策の失敗を取り返そうと躍起になっているようです。

さて、市況についてですが金は930ドルラインの攻防線、真夏の不需要期に大健闘というところでしょうか。白金が久しぶりの反発を見せています。最近の急落に対する実需買いが入った模様、自動車販売台数の減少から需要減退という材料にもぼちぼち飽きがきたか。南アでは電力価格上昇に対する抗議ストライキが始まっており、来月早々には鉱山会社のストライキも予定されており、需要面から供給面に視点が移る可能性も。

穀物市況は急反発症状、週末の産地の反発や、今週の高温乾燥予報から夜間取引の急反発が加わり、特に大豆がストップ高に張り付く情勢です。国内ではここ最近の急落から買い手の値洗い内容が悪化しており、売り方ペースから今日の反発に対しても疑心暗鬼となっています。大勢は今年の大天井を既に打っており、リバウンド相場がどこまで戻れるのかという見方が占めています。原油安からのフレートの下落も弱気に見方する動き、作柄の遅れをどの程度取り返すのか、今夜の引け後に発表される作柄に注目!

7月最終週のスタート

おはようございます。

今週で7月相場も終わり週末には8月入りとなります。日経朝刊では「米企業も買われる側に〜国外からの買収が3割に達する〜」との記事にあるように、サブプライム発のドル安・景気後退による影響から米企業に割安感も出ているようです。日本企業でも東京海上が約5000億円で米損保買収と、日本の海外企業買収では最大規模となっているようです。

米住宅公社2社の支援法が成立の運びとなったものの、住宅在庫の増加が止まらないことや、公的資金の導入が将来的なドル安要因となると考えられることから、楽観的な見通しばかりではないようです。

商品市場では原油価格の下落が続いており、当局の規制強化に向けて年金基金やヘッジファンド等の資金流出が続いており、正式な規制強化前に市場離脱が目立っており、ファンドポジションも1年5ヶ月ぶりに売り越しとなっています。これは離脱するものはある程度退場しており、ポジションの整理は地相場の形成に向かわせており、需給・ファンダメンタル相場に戻りつつあることが考えられます。原油市場同様に穀物市場からの市場離脱に向かっているようで、コーンなどは原油価格がピークから16%下げたことに比較すると、25%下げており天候改善とは言え少々売られすぎの域に入りつつあるようです。

先週は原油や穀物の急落と、ドルの買い戻し、株価の反発と唯一高値思考の金にも売り圧力がかかり一時920ドルを下回る場面も出ています。原油や穀物と違い当局の規制の対象外であることから、今後もドルの代替通貨としての輝きを放つものと思われ、夏場の不需要期を乗り切ると秋口以降に市場最高値への期待が広がることになりそうです。


相場に対する考え方
相場の世界は人間社会の縮図であり、より大きな視野に立つことが成功の秘訣です。ファンダメンタルを最も重要視し、商社や地場情報を取り入れながら、既存の見方にとらわれない独自の観点から、相場動向を分かりやすく解説し分析してまいります。
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