本日のトピック(最前線情報)

岡地(株)東京支店投資相談部の川原忠夫が相場の分析を致します。商品業界に身を置くこと四半世紀、相場界の酸いも甘いも噛み分けた豊富な経験を生かし、ファンダメンタルを重要視しながら、的確且つ最新の情報を発信してまいります。尚、情報に関しては正確を期するように最善を尽くしておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。利用にあたっては自己の責任の下で行うと共に売買の判断はお客様ご自身で行なってください。

2006年06月

後場穀物も連れ高!

貴金属・石油製品・非鉄(アルミ)が前場から確り推移でしたが、後場にはコーンを始め、NON大豆が確りとなっています。NON大豆の期近限月は、今週の6月納会での暴騰の勢いが未だ覚めず、大引けにかけて売り方の踏みを誘い、節ごとに買われており、10月限は1,000円幅の急騰となっています。本日の引け値でいうとNON大豆が一般大豆と比較し、3,000円前後の割高となり、NON大豆の割安感がほぼ解消になったようです。NON大豆の特殊性を除くと、昨日の急上昇はフレート(海上運賃)上昇からの、輸入コスト上昇によるもので、これも大方織り込んだ模様です。

しかし、円高の逆風下での堅調推移は意外な展開であり、決して侮ることは出来ないにしても、ここから更なる上昇に繋がる為には、ファンダメンタルに加えて天候の問題が発生しなければ、上値を追いかけてまでは買うことは出来ません。そこで注目されるのは、日本時間の今夜米農務省(USDA)より発表される作付け面積や、6月1日現在の四半期在庫となります。作付け面積は3月末の7,801万9,000エーカーを上回り見込みであり、在庫も前年同期の43億2,100万buを上回ることが優勢な見方となっています。ダウ・ジョーンズ通信の集計による予想では、作付けの事前予想の平均は7,979万7,000エーカー、在庫の事前予想は43億6,200buとなっています。

作付け面積にしろ在庫にしろある程度の増加は織り込んでいますが、USDAの発表が事前予想と比較してどの程度増えるのかが注目されており、シカゴの反応を見極めてみるべきと思われます。天候や作柄は平年比よりは、若干上回っているようです。

原油や貴金属には支援材料

次回8月8日のFOMCでの利上げが遠のいたと見て、ドル安を手がかりに貴金属はNYの市場の引け後も急進しております。金の昨日東京市場3時半の現物は580.15ドルでしたから、本日12時現在の600ドルは約20ドル高の急反発となっています。NY夜間6月限の602ドル台と、4月上旬以来2ヵ月半ぶりの大台乗せとなっています。原油や非鉄も大幅高となっており、金利に敏感に反応するのはやはり工業品銘柄と言うことになります。

声明文の最後の部分では、8月も継続して利上げするニュアンスもあり、市場は楽観的過ぎるようにも思われますが、ほかならぬ楽観主義者の寄せ集めが米国人(これは悪口ではありません)ですから、致し方ないのかも知れません。昨日のレポートでも、安値で金のETFが伸びていることをお伝えしましたが、銀のETFも着実に売上げを伸ばしているようです。ETFは安値を買い拾うのですが、ファンドは短期間での差金決済が目的ですから、金市場ひとつを取ってみても、いろんな側面があることを改めて認識させられる次第です。

FOMC「声明文」を好感!

おはようございます。

FOMCは政策金利であるFF金利を0.25%引き上げ年率5.25%とし、市場の大方の見方通りの利上げとなりました。声明文ではインフレ抑制の必要性と、景気のクールダウンに配慮した言葉が引用され、利上げに対するタカ派的な言い回しもなく、市場は利上げの最終局面を迎えたと判断して、株式・商品に買い安心感が広がり、幅広く買われております。

次回の8月8日のFOMCのは未だ相当の時間的猶予があり、前回5月10日以来資金萎縮を余儀なくされていた分、出たら終いで買い気を抑えきれなくなったものと思われます。米国では独立記念日の連休前の、浮かれ気分もそれを後押ししたものと思われます。声明文では景気配慮の言葉も滲み出ており、住宅バブル、原油高、金利高の悪条件を危惧するような見方にも言及しており、景気配慮に対する機運も見て取れました。

今回のFOMCに関して、バーナンキ氏のプレッシャーは、かなり大きなものであったことを推測しますが、前回のFOMC以来金融界の認知度が後退し、おまけにグリンスパン氏と比較される始末となり、前任者を称え後任者を半ばバッシングする論調が見られ、今回の声明文では景気配慮をある程度滲ませざるを得なかったのではないでしょうか。ひとまづウォール街での評判は、下げ止まったことでしょう。

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米国の独立記念日について

7月4日(木)は米国の独立記念日です。年間でも米国民にとって最大規模のイベントであり、明日から来月の4日まで5連休のところも多いようです。日本で言えばお正月のようなもので、めでたい、めでたいというところでしょうか。休日に伴う米国市場の休場等についてお知らせしますと、30日(金)は短縮取引ではありますが、全ての立会いがあります。週明けの3日(月)は完全休場は石油・貴金属で休みとなります。シカゴの穀物・NYの砂糖・コーヒーは短縮取引ながら場は立ちます。4日(火)は全ての市場が完全休場となります。

実質的には30日から大半の国民は休日モードであり、株式・商品の市場にしても場が立っても、主なプレイヤーは不参加と見られており、地場筋中心の動きに終始するものと思われ、市場は閑古鳥の状態と思われます。FRBも利上げ発表の後声明文を発表し、休日モードに入るのですから、米国民が安心して休日を迎えられるように、利上げが金融市場を否定するような声明でなく、投機資金が路頭に迷うことのないような配慮を願いたいものです。バーナンキ議長に取っては、出足のまずさを取り返すチャンスでもあり、真価が問われることになりますし、汚名を返上していただきたいものです。

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フレート高と中国の買い付けの噂

大豆・コーン共に制限高の様相となっており、コーヒーも急騰し穀物全面高となっています。一部商社のHP上に、中国が米国産コーンの買い付けをしているとの噂が掲載されたことに加えて、フレートがトン当たり35ドルから38ドルに上昇し、輸入コストが上昇する予測から買われているようです。

中国買い付けの事実確認はできておりませんが、基本的に中国はコーンの輸出国であり、国内の旺盛な需要に答えるために、輸出ストップの噂は過去に何度かありましたが、輸入するという実績はありません。ですからこれが事実であれば、少なからず影響は出てくるものと思われます。

フレートの上昇に関しては、年中変動があり驚くべきものではありません。しかし、このまま更に上昇すれば、輸入コスト上昇に繋がるために無視は出来ません。以上は理論的な要因となりますが、内部要因で説明するならば、買い方の整理が一巡した処から、シカゴも戻り基調となったところに、逆に今度は売り方の買戻しがまとまって入ったと言うことでしょうか。

FOMCの影響について

おはようございます。

証券市場も含めてFOMC待ちの状態となっており、明日の利上げ決定後の「声明文」の内容が最も期にかかるところです。2月からグリンスパンからバーナンキにFRB議長の座が入れ替わったわけですが、5月の議長発言が突然180度違う発言をしたり、一部の雑誌の記者に情報を漏らしたりして、今のところ市場の信認を得られておりません。

むしろ、不信任或いは市場への伝達が不明瞭なことから、信認を欠いていることが現実といえるでしょう。学者畑ひと筋ですから、グリンスパンのような市場との対話の妙、と言えるようなものは持ち合わせてはいないのでしょうが、利上げを継続しても前任者なら、ここまで市場混乱を招かずにいられたと言うのが、市場関係者の素直な気持ちではねいでしょうか。

利上げ継続か、打ち止めかのいずれかの選択を迫られる苦悩はあるにしても、市場が混乱しないように、声明文に工夫を凝らして欲しいものですね。影響は米国に留まらず、世界経済に及ぶことを念頭に入れての「声明文」に期待します。
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新甫発会からの分析

貴金属は本日2007年6月限の新甫発会となっており、金の6月限は本日の出来高26,119枚と、4月限の58,031枚と比較すると半分以下となっています。取り組みは4月限で初日17,884でしたから、今日の出来高より日計り分を除けば、当然4月限には及ばないこととなります。4月26日は価格的には2,378円と、2,587円への上げ途上でしたから、日計りを含めて連日大商いでした。底入れしたとは言え高値の買い玉を含めて、買い勢力が疲弊しており4月限のようにはいかないようです。

一方白金のほうですが、4月新甫初日の出来高は19,564枚で、取り組みは6,057枚でした。本日の6月限新甫は出来高16,989枚と、若干少ないながらも金ほどの落ち込みには至っておりません。当時4,187円から4,658円への上昇過程だったことは金と同様なのですが、本日引け値4,370円は価格比較からみれば、金より買い勢力が健全であることが分かる。その意味からすれば、買いポジションをどちらの銘柄にするのか迷いがあれば、白金買いが有利と言えるでしょうか。

穀物はコーンが引け高となり、2時で最終立会いとなる一般大豆はマイナスのまま終えておりますが、NON大豆は昨日の急騰納会の余韻とコーン高を受けて、確りとなっております。7年6月限の新甫は、わずかに500円のサヤしか買えずに発会しましたが、引けでは4月限と比較して700円余り上鞘を買っており、かろうじて面目躍如となっています。7月はコーンにとって重要な受粉期であり、天候本番を迎えます。しかし、現在の理想的天候と良い作柄が逆転するとは思えないが、まだまだ天候プレミアムが剥がれるには早い。

「最前線レポート」6月29号、ご請求ください。

株安が誘い水

NYダウの120ドル安を受けて、日経平均が前場315円安の大幅下落となっています。ダウはここ最近1万1000ドルの台固めに失敗し、チャートも陰転し引け味の悪るいものとなっています。日経平均も15,000円を割り込んでおり、内外共にFOMCを控えて神経質な展開を余儀なくされております。

さて、株安から金も昨日買われた分以上の下げとなっており、新甫6月限の発会から若干のサヤすべりが見受けられます。金も最近は株価につられることが多く、本来の逆相関性はどこえやら、運命共同体のような動きとなりお粗末な限りです。米国の金融当局の利上げ圧力は織り込んでいるようでも、今日あたりの株式の動きを見れば、未だと言わざるを得ないのでしょうか。

しかし、金の株価に対する反応も一時ほどではなく、徐々に独自路線への展開を計るものと思われます。インフレを懸念されるものなら、金は本来の強い相場のときは強材料として受け取り、利上げをも肥やすにするものなのです。ですから株式は利上げに弱いわけですから、「利上げ=株安」は方程式通りです。しかし金は「インフレ=金高」が正常な方程式となります。いずれは株とは袂を分かち合い、逆相関性の関係に戻るものと思われます。

今朝の雑感

おはようございます。

昨日の全面高から見れば、今日は落ち着いた展開が予想されます。NY原油が若干高ながら、昨日の夜間との比較では、小安い状況といえるでしょう。金はスポットが現在579.9ドルで前日3時半(590.5ドル)より10ドルあまり安く30円強の下げとなる見込みです。白金は換算値では10円前後確りですが、金安の状況では上値を追う事は難しいものと思われます。LD非鉄も国際銅研究会発表の今年第一四半期の銅需給が、6万4000トンの供給過剰と発表されており、これを嫌気して昨日の上昇分の大半の値を削っております。

穀物はいくらか確りでの入電ですが、ある程度昨日買われていることに加えて、工業品の軟調予想から買い気も盛り上りに欠けるものと思われます。但し昨日暴騰納会したNON大豆は、期近中心に続伸すると見られます。昨日の一般大豆は後場から先物中心に、商社勢の売り物も出ており、先物が本日買われた場合は商社勢の売り物が入るものと思われます。粗糖やコーヒーも、昨日の買われすぎからの反落が予想され、全体的に上値の重いものと思われます。

後場から全面高

前場からガソリン・灯油が一部ストップ高となり白金や金も堅調な中、前場3節のNON大豆の納会が実に3,520円高の暴騰納会となり、期近限月中心に制限高となりました。後場はドル安傾向から貴金属のスポットが一段高となり、金は前場より10円前後高寄り、石油製品も先物中心に制限高となりました。自ずと後場の穀物は工業品高とNON大豆に連れ高し、久しぶりの全面高症状となりました。

原油・金の夜間取引も堅調を維持しており、若干のドル安に素直に反応しております。しかし、今日の意外性の面での主役は、石油や金やゴム、制限高の粗糖ではなくNON大豆の納会でしょう。事前予想では買い端予想で、大手商社系製油メーカーが渡しきりに出るとの予想で、売り端を予想する向きは少数派だったと思われます。

以前より納会はどんなに予測しても「蓋を開けるまでは分からない」と言われており、今回は正に青天の霹靂というところでしょうか。買い方は納会でピンチを救われたでしょうし、売り方は思惑が外れて参ったというところでしょうか。しかし、NON大豆を原料にした製油の重要な販売時期である、中元セールもピークを過ぎており、実需も当用買いに入る時期でもあり、基本的に戻り売り相場に変化はないものと考えております。

相場に対する考え方
相場の世界は人間社会の縮図であり、より大きな視野に立つことが成功の秘訣です。ファンダメンタルを最も重要視し、商社や地場情報を取り入れながら、既存の見方にとらわれない独自の観点から、相場動向を分かりやすく解説し分析してまいります。
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