本日のトピック(最前線情報)

岡地(株)東京支店投資相談部の川原忠夫が相場の分析を致します。商品業界に身を置くこと四半世紀、相場界の酸いも甘いも噛み分けた豊富な経験を生かし、ファンダメンタルを重要視しながら、的確且つ最新の情報を発信してまいります。尚、情報に関しては正確を期するように最善を尽くしておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。利用にあたっては自己の責任の下で行うと共に売買の判断はお客様ご自身で行なってください。

2006年05月

雑感と今週のレポートについて

金は10円前後のプラス圏で終日揉み合いとなり、昨日のようにゴムの乱高下に対しては、反応薄で堂々と一日構えていたように見受けられます。スポット価格も650ドル前半で一日揉み合い、為替のドル高・ドル安に素直に反応しており、今日も見るべきものがあまりない状況でした。白金はだらだら下げており、三羽烏(日足が三日間連続陰線)が完成し、下値を暗示する線形となっています。

こじつけですが白金の買いを手仕舞い、人気のゴムへ資金移動でもしているのか、取り組みも13万枚から新高値更新にも関わらず、11万枚割れ寸前となっており、不思議な銘柄ではあります。ゴムは今日も一日商いを伴い、値動きも荒っぽいものとなっております。シンガポールゴムやタイの現物高からすれば、東京市場のマイナス圏は売られすぎとなりますから、商社機関店は全て買い越しにて、本日の取引を終了しております。引け味も悪くなく、上げ途上相場と思われます。

コーヒー、大豆は先週のレポートで解説させていただいたことが、早くも現実味を帯びた展開となっており、期近限月の内容悪が先物まで波及しそうな勢いです。一代足を参照していただければ、先物足で見ても下値残しの判断となります。取り組み内部要因や、現物事情を加味しても、期近限月中心の一段安が想定されます。

今週のレポートは大波乱の「ゴム相場」の見通しについて、まとめてみました。明日送信予定です。ご請求ください。

ポールソン新財務長官の意味するところは?

昨日米東部時間午前9時に、新財務長官の指名会見がありました。前任のスノー氏は「強いドル」という言葉を掲げてきたわけですが、ポールソン氏はその強いドルという言葉を、一度も発することなく、「米国の競争力」という言葉を何度も繰り返したことが印象に残ります。これはより政権寄りの発言と思われ、産業界からのドル安要請や、貿易赤字減らしのドル安容認とも、絡んでのことと思われます。

現政権がドル安容認スタンスに対して、FRBの金融政策が微妙に違いがあります。現在の米FF金利は5.0%と0.25%づつ16回にわたり利上げをし、景気の牽引役の住宅投資に陰りが見えており、インフレ抑制の為の利上げ継続か、景気配慮の利上げ打ち止めか、今後も市場関係者の気が揉めるところとなります。今後の商品価格の動向に、最も大きく影響を及ぼすために、我々商品の関係者も最大の注目点となります。

N金と原油は取組減少に歯止め

おはようございます。

米財務長官スノー氏が辞任して、後任としてポールソン氏(GSのCEO)が決まりました。人事の思惑が巡りNY外為市場は、112円を挟んで神経質な動きとなりましたが、若干の円高、ドル安で引けております。為替相場に今後この人事がらみで、影響があるのかどうか見極めが必要となりますが、就任の挨拶でスノー氏のように、「強いドル」という発言がなかったために、ドル安のスタンスと考えられないこともありません。

ポールソン氏はFRB議長の候補として上げられたりしており、日本の事情通でも知られており、満を持しての政界入りとなります。ブッシュ大統領の支持率低下に、歯止めをかける期待が政権からは寄せられています。尚、ECB理事会は来月の8日(木)に予定されていますが、先月のユーロ圏のマネーサプライが3年ぶりの増加となり、利上げ観測が盛り上っており、ドルを売り込む材料となりますから注目です。

週明けのNY金は取り組みが約1万枚増加しており、減少に歯止めがかかったことが伺われます。原油も増加しておりこれらの現象から推測すれば、ヘッジファンド中心の整理は一巡したものと思われ、上昇を伺う体制が出来つつあるものと判断しています。

年金資金ファンドは自分で自分の首を絞める?

先週の「週間エコノミスト」(毎日新聞社発行)は商品特集を組んでおり、19ページに及ぶボリュームのあるもので、ご覧になった方もおられると思いますが、私が注目したのは住友商事の佐野慶一氏の主張で興味深いものでした。その前の週の「週間東洋経済」にも、文章は短めながら同じ内容の主張がなされており、エコノミスト用にさらに詳しく書き直したものでした。簡単に紹介しておきます。

佐野氏の主張は年金資金の動向が、今後の市況に大きく影響すると言うもので、世界の年金資金の総額は、1500兆円で商品市場にはそのうち、8兆〜9兆円の資金が運用されているとのこと。ポートフォリオの理論上は、10〜15%が商品市場で運用すべきで、その意味合いからすれば、資金規模は現在の数倍になる可能性があるとのこと。

年金マネーはヘッジファンドなどの資金の3倍以上あり、原油市場に2.2兆円を投資している。それによって現在の原油価格を、15ドルから20ドル押し上げている。原油市場の現物市場規模は254兆円であり、それでも巨大な年金資金を受け入れるだけの枠はある。とまあここまではそれほど驚くには値しなのですが、問題はこの後になります。

原油や金などの大型商品は市場規模の点で、豊富な年金マネーを受け入れるだけの素地がある。しかし、銅などの非鉄を始めとした他の商品市場では、大型の資金流入のは流動性の限界が近づいている。そいて、ここからが興味深いのですが、年金資金は自分で自分の首をしめているとの主張です。

つまり、年金資金の99%は株式・債券での運用が中心で、わずか1%で運用する商品市場で、値上がりによる成功は他の99%をダメにするというものです。というのは商品価格上昇で、インフレ懸念が台頭し、主要国の金融引締めに繋がり、債券価格を下落させ、株式にも悪影響を及ぼすと言うものです。

なるほどと考えさせられるものでしたが、商品価格上昇の要因が年金資金の運用に負うのであればという、条件がつくことになります。年金資金のような大口の資金が、商品のような小さな市場で運用されれば、価格形成に与える影響は少なくないのは理解できるのですが、突き詰めれば、年金資金の運用がなければ、インフレは止められるのか。1%の成功が99%をダメにするのか、皆さんはどのように考えられますか?



今夜が分水嶺か

後場からゴムは一時制限安を含む暴落症状となり、出来高も9万5千枚余りの大商いとなっております。金やガソリンの出来高を上回る、本日の主役銘柄となりました。商いが弾んだうえに上髭陰線を引いており、通常であれば目先の天井足を引いたことになります。ゴムが大幅安に見舞われてから、金・白金・石油製品と日ばかり銘柄が影響を受けて、軒並み反落状況となりました。

ゴムは引け値を冷静に見れば、当先が綺麗な逆サヤとなっており、ゴム相場が本来強いときのサヤ関係の完成であり、弱気禁物と言わざるを得ません。今後は300円前後の水準を基点として、再度上昇トレンドに向かう可能性があるものと考えております。但し、今日の白金や金或いは石油製品は、お世辞でも引け味はよくはありません。その意味では今週の海外国際商品の動向が、非常に重要となってきます。

本日は午後より円高に振れており、3時半現在は111円70銭前後となっております。週末のNYは112円台の後半ですから、1円前後のドル安に対してNY金やWTI原油が、どのように反応するのかが注目されます。今夜の国際商品の動向が、今後を占う上で大きな要素を占めるものと思われます。経済指標は今週も、今夜の消費者信頼感指数を始めとして、週末の雇用統計まで目の離せない状況が続きます。

結局6月末のFOMCまでは、FRBの金融政策の動向を探りながら、土壇場まで「利上げと打ち止め」の狭間を、漂わされる可能性が大きいと思われ、トレンド作りの難しい今後1ヵ月となる可能性も、高いのではないかと悲観的にもさせられます。私自身国際商品のファンダメンタルは、良好と見ておりますので、今回の金を始めとした調整安は、あくまでも上昇トレンドのコレクションであり、新たな相場水準への試練と考えております。

市況全般

海外市場が休場のために手探り状態のなかで、最近人気付いたゴムに皆の視線が集中している感じで、ディーラー勢もゴムに参加しており、午前中だけで5万枚に迫る大商いとなっています。高寄り後急騰から大反落して、その後また急反発となっております。人気付くというより、まるでゴムをやらなきゃ損するように、日ばかり族の狂喜乱舞の世界となっています。

ファンダメンタルは以前よりお伝えしてるように、産地供給の不安感から需給がタイトな状況に変化はないと思われます。しかし、上げのスピードが速や過ぎて、今日のように一時停止も余儀なくされております。金市場あたりが調整を迎えると、白金やゴムのように調整を入れない銘柄は、売り易い銘柄に見えてきて売り込み易くなり、売り方の悲鳴も聞こえてきます。行き過ぎの調整も当然あるでしょうが、上値残しに変化はないものと思われます。

ゴム反落の影響もあり、前場引けはやや軟調な白金もゴム同様に、売り易い銘柄のひとつですが、付和雷同的に売り込むことは避けるべきでしょう。後場の取引もスタートしており、後ほどお会いしたと思います。時間に余裕がなく申し訳ありません。

制限高から制限安までまだら模様

制限高のゴムから、制限安の砂糖・non大豆と相場はまだら模様となっております。金や石油製品が落ち着いた動きとなっていることから、それぞれの個々の銘柄の内容によって動き出しており、ある意味では本来の状況に戻ってきたともいえるでしょう。

これまで金や石油製品が動意付いたときに、他の銘柄が連れ高や連れ安に陥り、全面高、全面安の繰り返しが多く見受けられましたが、相場とは本来銘柄によって違う動きをすることが当たり前のことであり、味噌も糞も同じ動きをすること事態が異常な状態なのです。

最もこのような正常な状態が、いつまで続くのかも疑わしさは残ります。金や石油がいつ動意付くのか、またその場合の他銘柄の反応を見極める必要もあります。その意味で本日の動きは素直なもので、ゴムは強い、砂糖・大豆は弱い、無責任のようですが素直に動いた結果が出ているに過ぎないのです。



ブラジル関連銘柄が弱い

今朝も新興国の通貨について書きましたが、午前中の動きを見ていると砂糖・コーヒー・大豆と売られております。どれもブラジルの主要な輸出農産物ですが、この動きがレアル安と無縁ではないと思われます。自国通貨が安いと輸出品での、手取り金額が増える為に輸出が促進されるという根拠になります。

今年前半はヘッジファンドなどの資金が、新興諸国の株式市場に投資されており、今までは新興国の通貨の強い背景となっており、自国通貨が強い為に輸出の障害と見られておりましたが、一旦ポジションを閉じて引き上げとなれば、その通貨は売られることになり、通貨安=輸出促進となります。その分消費国に入りやすくなったものは、下げ圧力がかかりやすくなります。

先週のレポートに大豆・コーヒーを詳しく(参照)書いておりますが、この通貨要因を除いても、コーヒーや大豆は売られやすい環境にあります。特に期近限月から期中限月は内部要因も良くなく、non大の期近限月などは、一代の安値を更新しており、買い玉の利のあるものは1枚もないのが現実です。今後も荷の重みが表面化すると考えられますので、一段の安値追いが避けられないものと思われます。

通貨安といえばインドネシア・ルピアも同様ですが、ゴム相場は下げるどころか堅調を維持しております。今回の地震被災地であるジャワ島は、ゴムの木は多くはなくゴム相場に影響することはないものと思われます。週末より期近限月が中心となり買われており、大幅な順サヤが同サヤ化へと向かいつつあるように思えます。今月の受けの筆頭である竹橋がこの6月限にも、買いポジションを多く保有し不気味な底堅さを感じます。同サヤから逆サヤ移行も可能性を残しており、値頃売りは慎むべきと判断します。

新興国より引き上げられたドルの行方

おはようございます。

5月最後の週でもあり、6月最初の週でもあります。今月上旬G7以降の為替の変動に始まった、世界的資金移動から2週間経過しており、今週は3週目となりますが、目先で大きな投機資金を運用する、ヘッジファンドの資金回収も峠を越えたものと思われますが、まだ予断は許されないようです。

とりわけ資源を多く持つ新興国の株式市場は、大きな痛手を受けており、その国への資金が還流するのですから、通貨が大きく下落しており、その国の資源つまり輸出商品の価格が大きく影響を受けています。国際商品の輸出国の為替で、大きく変動したものを挙げてみますと、インドネシア・ルピアや南ア・ランドは、この2週間で9〜12%の下落、ブラジル・レアルで5〜6%の下落となっています。

資源輸出国が商品を輸出する場合、一般的にその国の通貨が安くなれば輸出は促進され、逆に強くなれば輸出は伸び悩むのが通常です。今回の通貨変動において上記に示した通貨より、影響を受けやすい商品を挙げてみると、ブラジルは砂糖にコーヒー、南アは金・白金等、インドネシアはゴムというのが代表例です。

事実下落しているものもありますし、逆にゴムや白金のように影響を受けていないものもありますから、一概にはいえないのですが、為替が安く振れている事は、輸出国の手取り金額が増加して、その分輸出が促進されることは否定できません。またLMEの非鉄関係の生産国の通貨も(中南米)も軒並み下落しており、市況に少なからぬ影響が出ています。

資源国の通貨要因も大きく市況を左右しますが、今回の変動からある程度は織り込んだものと思われ、通貨要因を材料に売り込むには、今後は限度があるものと思います。むしろヘッジファンドの引き上げた資金が、今後どこに向かうのかが注目されます。一部の資金はドルに還流するのではなく、ユーロに切り替えられる動きもあり、この動きがある程度の規模になれば、ドル不安再来も起き得る状況であり、今後の市況を占う上で非常に重要となってきます。


ドル高に反応薄

おはようございます。

商務省より4月の個人消費支出が発表され、前月比0.6%の増加となりました。即報値よりやや下方修正されており、インフレ圧力が緩和された数値となっています。物価安定=利上げ打ち止めというように、ドル相場は反応せずにドルは買われ、円相場は軟調で112円72銭で引けています。3連休を控えたドル買戻しとのことです。

ドル相場は円に対してのみの上昇ではなく、ユーロに対して4営業日ぶり、スイスフランに対して12営業日ぶり、ポンドに対して14営業日ぶりと全面高様相となっています。要因はともかくとして、ドルが全面高にも関わらず、本日の商品市況に悪影響を及ぼさなかったことは特筆ものです。

今月中旬以降の海外国際商品は、ドル高基調に転換するや否や、急反落を繰り返す日々が続き、ほんの10銭・20銭の変化にも現物の金が1ドル・2ドルと過剰反応をみせておりました。今日の反応だけでの即断はできませんが、国際商品底入れにはいい傾向とおもわれます。商品バブルとして認識が広がりつつある時期ですが、下げ相場は弱気勢が幅を利かすものす。いつまで彼らのトーンが保たれるのか、なりを潜めている相場そのものに聞かなきゃ分かりませんよね。

LMEのニッケルは史上最高値を更新しており、原油も70ドルに乗せてからは、取り組みも徐々に増加の傾向です。金にしても本日で取り組み減少に、歯止めがかかりそうです。また、白金やゴムの強さを見れば、底入れはそんなに遠いことでもないように思えてなりません。
相場に対する考え方
相場の世界は人間社会の縮図であり、より大きな視野に立つことが成功の秘訣です。ファンダメンタルを最も重要視し、商社や地場情報を取り入れながら、既存の見方にとらわれない独自の観点から、相場動向を分かりやすく解説し分析してまいります。
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